家のエネルギーマネジメント編について、シニアコンサルタントがノウハウを伝授

住まい選びのコツ

第6講 家の
エネルギーマネジメント編

住まいの賢いエネルギーとは?

第6講は「家のエネルギーマネジメント」編。
エネルギー問題は、資源が少なくエネルギー自給率が低い日本にとって、安全保障や経済の観点でも重要なことです。地球環境を守り、快適で経済的に。日本の未来のためにも、住まいのエネルギーマネジメントについて考えていきます。

  • ここに注目

    日本の家は、先進国の基準の中で断熱性能も燃費性能も格段に低い

    図は、各国の断熱性能基準を比較したものです。
    横軸は緯度を表しており右に行くほど寒い地域(暖房がたくさん必要)で、縦軸は下に行くほど熱損失が小さい=断熱性能が高いことを表しています。米国や英国と比較すると、東京の断熱性能基準は遥かに熱損失が大きく、他の先進国よりも「熱が逃げやすい」家であることが一目瞭然です。
    「断熱への意識」を高め、環境にも体にも優しい住まいづくりを始めませんか?

    「NRIパブリックメネジメントレビュー vol.138」を参考に、リビタにて作成
  • ポイント

    エネルギー性能は2つの視点で考える

    大きく分けて「外皮性能」と「設備性能」の2つがあります。
    外皮性能とは、簡単に言うと外壁や屋根・壁などの断熱性能のこと。
    断熱することで、冬場の冷気や夏の熱気といった外気温が家の中に伝わりづらくなり、いわば熱の受け渡しを防いでくれるのです。断熱性能を上げる=家自体を高性能にすることで少ないエネルギーで快適に過ごすことが可能になります。
    設備性能とは、給湯機などの設備における性能のこと。
    省エネ機器を導入することで、エネルギーを上手に使うことができます。
    片方だけではなく、両輪で考えることが快適な住まいづくりにはとても重要です。

  • 知っておきたい

    リノベで出来る!エネルギー性能の高い家“省エネ改修のススメ”

    実は、中古住宅は、新築以上の省エネルギー性能に改修できることをご存知ですか?
    いつもの暮らしが、より心地よく、さらに快適になる4つのメリットを得られます。

    1
    我慢しない快適な暮らし
    冷暖房に頼ると、暑すぎたり寒すぎたり、乾燥や結露も。断熱性能の高い家は、冷暖房機器の使用を最小限に抑えられるため、心地よく快適です。
    2
    健康リスクを低減
    部屋だけではなく、廊下や水まわりなど家の全体を暖め、住戸内の温度差を少なくすることで、交通事故の4倍以上と言われるヒートショックを防げます。
    3
    お財布に優しい
    月々の光熱費を抑えられます。また、省エネ改修工事費に対する減税制度や金利優遇、助成金などの制度もあるのでチェックしておきたいところ。
    4
    CO2削減で地球にも優しい
    省エネ住宅では普段通りに生活するだけで、CO2排出量を削減。限りある資源を無駄なく上手に使うことで、無理なく我慢せずにサステイナブル。
    TOPICS

    家の燃費を見える化する仕組みや制度

    左のエネルギーパスは、自動車と同じように「家のエネルギー燃費性能」を金額で表示した証明書です。現在、EU全土では不動産取引時にエネルギーパスの提示が義務化されています。
    右のBELS(ベルス)は、エネルギー性能を5段階評価でわかりやすく表示させた日本独自の評価制度です。今後、新築の戸建て住宅などでは、設計時に購入者へ省エネ基準への適合可否の説明が義務付けられる予定です。

    ※2019年1月時点
    COLUMN

    築30年の戸建てをZEH住宅にリノベする
    実証実験を行っています

    ZEH(ネット・ゼロエネルギー・ハウス)とは、断熱性・省エネ性能を上げ、かつ太陽光発電などでエネルギーを創ることで一次エネルギー消費量の収支を「ゼロ」にする住宅のことです。(資源エネルギー庁指定による計算)
    2017年7月、窓を考える会社YKK APと協働した、戸建て住宅をゼロエネルギー住宅へ性能向上リノベーションする実証プロジェクト「代沢の家」が完成しました。「代沢の家」は、「HEAT20 G1(※)」相当に性能向上を行った最先端のリノベーション住宅です。エネルギー収支の定点観測はもちろん、性能向上で実現する暮らしを見える化していきます。さらにノウハウやナレッジを公開し、今後のHOWS Renovationの商品企画にも活かしていきます。

    ※ HEAT20 G1 とは、「2020 年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(HEAT20)」が、室内温熱環境はどうあるべきかを考え G1 グレード・G2 グレードという2つの断熱基準を提案している。