企画者と住まい手の視点から考える 「これからの賃貸暮らしのあり方・可能性」 トークイベントレポート

リビタでは、多機能交流型賃貸住宅『Well-Blend』や、シェア型賃貸住宅『シェアプレイス』などさまざまな賃貸物件を展開しています。そして、法人向けに社宅や寮としての入居募集も行っています。蔦屋書店やTSUTAYA、ラウンジのような空間とオフィスの機能性を兼ね備えた『SHARE LOUNGE』などを手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)をはじめ、さまざまな企業さまから入居いただいており、そこでは新たな共創の形も生まれ始めています。
今回はCCCさんをゲストをお迎えし、「これからの賃貸暮らしのあり方・可能性」をテーマとしたトークイベントの様子をお届けします。
■ゲスト紹介(左から)
株式会社リビタ
柴田大輔、戸成圭、海野由朔
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)
高戸佑輔さん、簗場美緒さん
企業と連携することで広がる可能性
トークイベントの会場となったのは、2024年3月に開業した『Well-Blend十条』。イベントには、社宅導入を検討されている企業や、リビタのシェア型賃貸住宅の価値観に共感していただけそうな場を起点としたサービス等を手掛けられている企業など、約30名の方にご参加いただきました。
今回のゲストは、CCCで店舗の企画開発などを担当する高戸佑輔さんと、簗場美緒さん。CCCはこの4月から『シェアプレイス HARUMI FLAG』への入居が決まっており、実際に物件に住みながら、リビタとともに新しいことを仕掛けていく仲間でもあります。
従来の『シェアプレイス』では、入居者個人が自主的にイベントを開催することで、コミュニティを盛り上げてきました。そこに今回、CCCをはじめとした企業が加わることによって、いったいどんな新しい取り組みが生まれていくのか。期待とともに、これからの新しい賃貸暮らしの在り方について、それぞれの目線から語っていきます。
入居者の個性を活かして、
ともに新しい価値をつくっていく時代へ
まず最初に、CCCと取り組んでいくこととなった背景について「モノや場のシェアが当たり前になった今、リビタとしては入居者の“個性”をシェアしながら、ともに企画して新しい価値をつくれるような、貸主と借主の関係にとどまらないパートナー関係を入居者と築いていきたいと考えていた」と語った、リビタの柴田。
柴田:これからはリビタが考える企画を一緒に面白がってくれるパートナーの存在がすごく重要だなと考えています。物件の中だけだと、どうしても狭い世界になってしまうので、地域など物件の外にも開きつつ、協業できるパートナーさんとの関係性をつくっていきたいなと。その文脈で今、CCCさんとは暮らしをテーマに、『シェアプレイス HARUMI FLAG』で一緒に何か起こせないかと取り組んでいるところです。
高戸:柴田さんに久しぶりに連絡をしたら、晴海エリアで共創型社宅をコンセプトにした面白いプロジェクトがあると聞いたんです。会社で借りてみたら面白そうということで、店舗出店が主な仕事なのですが、今回は出店ではなく“入居”という形で入らせていただくことになりました。私たちCCCとしても、最近お声掛けいただくプロジェクトを振り返ってみると、住宅やオフィス、店舗、ホテルなど様々な用途の不動産を有効活用したりリノベーションしていくような事例が増えている感覚がありまして。それぞれのアセットに対して何ができるのかを日々考えるなかで、今回は住宅の領域で何か取り組んでみたいと思ったのが、『シェアプレイスHARUMI FLAG』に入居することになった大きな理由ですね。
CCCが持つコンテンツを、さまざまな場所へと広げていく上で、リアルな場の活用の仕方に興味があったという高戸さん。その一つとして、今回は『シェアプレイス HARUMI FLAG』という“住まい”をプラットフォームに、新しい可能性を探ってみたいと話しています。
高戸:CCCの社員が住むことで、今まで全く接点がなかった企業さんと出会えるチャンスですし、きっと日常の何気ない接点から新しい取り組みが生まれるケースも増えていくと思います。そこで、我々が持っているコンテンツがうまく触媒となることで、いろいろな方々のハブになれると面白いのではないかと思っています。
「自分が入居するとしたら、物件内でどんなことをやってみたいか?」という質問に対し、簗場さんからはこんな答えが。
簗場:まず、私たちの事業である出版コンテンツを軸にしたイベントを、シェアプレイス入居者のみならず外部の方も招く形でやれたらいいなと考えています。それとは別で、入居者の方たちをミックスさせるクローズドなイベントや企画もできたらなと。たとえば、『シェアプレイス HARUMI FLAG』の2階には、本棚がありますよね。皆さんで2~3か月に1回ジャンルを設定して、それに沿った本を置いていく企画とか。『自分の人生でインパクトがあった一冊』のように設定すれば、コミュニケーションのきっかけにもなります。人を通して本を知るだけではなく、本を通して人を知ることもできたらと思います。入居者みんなで本棚を育てていく、みたいなことができたらいいですよね。
その後、トークテーマは「住まいの管理会社と入居者との関係性」に。
リビタの物件担当社員は入居者から名前で「〇〇さん」と呼ばれたり、イベントにも一緒に参加したりするなど、一般的な賃貸住宅の管理会社と入居者に比べると、距離感が近いのが特徴です。
さらに今後は、企業の方々も入居することで、“共創”というキーワードが加わり、新たな関係性へと発展していくことが考えられます。
高戸:過去には、森林や土地などの資源を、地域住民が当事者意識を持って共同で管理していた時代があって、今でも地方にはそうした仕組みが残っていたりしますよね。『シェアプレイス HARUMI FLAG』ではそれと同じように、リビタと私たち入居者が管理する人/される人という関係性ではなく、ともに当事者意識を持って場をつくっていく、そんなことが起こるのかなと捉えています。それが、これからの新しい賃貸住宅の在り方にも繋がっていくのではないでしょうか。
会場のあちこちでディスカッションが生まれた夜
あっという間に時間を迎え、トークショーは終了。「乾杯!」の挨拶とともに懇親会がスタートしました。テーブルには、『Well-Blend十条』にて4月からオープンするカフェ『Persons Coffeehouse』のフード監修を担当された北出茂雄さんの、美味しそうなタコスやチキンが並んでいます。
この『Persons Coffeehouse』を運営するのは、TRAVELING ELEPHANT株式会社。「当たり前の良さを提供する」をコンセプトに、入居者から地域住民の方まで、さまざまな人がゆるやかな交流を楽しむことのできる場所を目指します。実際のカフェでは、ナポリタンやサンドウィッチなどの軽食やコーヒーが提供される予定。
トーク中から良い匂いが漂っていたため、参加者の皆さんも楽しみにしていた様子。金曜の夜ということもあり、タコスと一緒にビールを楽しむ方の姿もたくさん見られました。
参加者の中には、新入社員の寮として『シェアプレイス HARUMI FLAG』を活用されることが決まっている企業の方も。通常の賃貸住宅に比べて、機能性があって設備も整っているからこそ、女性から好感をもらっているのだそう。シェア型の物件だからこそ、会社以外にコミュニティができるというのも、重要なポイントです。
そして、盛況のうちにイベントの全行程が終了。終わりの時間を迎えてもなお、トークショーに登壇していたリビタ社員やCCCのゲストを囲んで、熱心にディスカッションをする方々の姿が見られました。このイベントをきっかけに、さらなる新しい繋がりや共創が生まれていきそうです。
リビタが企画・運営する賃貸住宅は、単なる住まいを提供するという事業者としての枠を超えて、そこに住まう入居者へ多様な機会を提供することにより、入居者自身の可能性を広げる後押しができるような場づくりを目指しています。CCCさんに続き、今後もさまざまな企業さまと共創関係を築きながら、一般入居者の方も住まいに混ざることで、新しい賃貸住宅、社宅の在り方を提唱していきたいと考えています。
業種を問わず、一緒になにか新しいことを企てていただける企業さまとの出会いを楽しみにしています。
writing_ 村山晶 photograph_ 平瀬夏彦
取材・撮影 :2024年3月