変わりゆくオフィス街の事務所ビルを、
地域に開かれたティーサロンを併設するホテルに
プロジェクト概要
金沢に残る禅や茶の湯、伝統文化を未来につなぐホテル
金沢市中心部のオフィス街に位置する築44年のオフィスビルをホテルへとコンバージョンしました。
茶の湯や禅の思想などといった武家文化が今なお受け継がれる金沢の街において、その伝統を汲み未来につなぐことをコンセプトにしています。地域に開かれたティーサロンをはじめ、館内に配された金沢ゆかりのアーティストによる工芸やアート作品の数々を通じて、コンテンポラリーな金沢との出会いを提供しています。
客室は小上がりやロフトベッドなどを活用することで、全7タイプ47室すべてが最大4名定員となり、1名様からグループまで多様なニーズに対応しています。開業以来、2019年度グッドデザイン賞やDFA Design for Asia Awards 2018など、さまざまなデザインアワードを受賞しています。
担当範囲
課題と解決
課題
変わりゆくオフィス街に建つ事務所ビルの活用
地方都市には、中小規模の遊休不動産が多く、その空室により街の空洞化が問題となっている。本物件の所在する金沢市のオフィス街も同様だった。こうした建物は容積率が限られ、大規模事業者には収益性に乏しく、地方の小規模事業者にとっては多額の投資が必要となるため、結果として活用されづらい状況であった。また、既存建物の建物形状や柱割、開口部位置により、効率的な客室構成を実現することが難しいという課題もあった。
ブランドビジョンの体現
THE SHARE HOTELSは”SHARING WITH LOCALS 地域との共生”をビジョンとし、地域プレイヤーの活動・発信の場を提供しながら、宿泊者と地域との接点を創出するホテルブランドです。地方創生が叫ばれる現在、金沢でもUターンして地域を盛り上げようとする地域プレイヤーが増えており、それらの人々と旅行者を繋げる空間が求められていた。
解決
需要の変化へ柔軟に対応したリノベーション開発
北陸新幹線開業による観光需要が高まる中、オフィスビルをホテルへと転用することで建物の収益性を向上。リノベーションにより投資を抑えつつ、既存建物の階高を生かしたロフトベッドや、小上がりのある客室を計画し、1室の収容人数を高め、さらなる収益の最大化を実現。また、4名定員の客室はインバウンド宿泊客のニーズと合致し、このプランニングは後に続くTHE SHARE HOTELSの商品性の礎となった。
象徴的な天井格子のある、地域に開かれたティーサロン
街に開かれた1階ティーサロンでは、象徴的な天井格子がガイドとして機能し、さまざまな場所にパーティションを配置することが可能。これにより、トークイベントや音楽パフォーマンス、会議室利用など、多様な目的に合わせて空間を活用することができ、地域プレイヤーの活動を柔軟に受け入れる。また、ティーサロンでは金沢の伝統文化にちなみ、抹茶などを地元の作家の工芸品などと共に提供し、地域の魅力を発信。
物件概要
- 物件名
- KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS (公式HP)
- 所在地
- 石川県金沢市上堤町2-40
- アクセス
- JR金沢駅徒歩19分
JR金沢駅タクシー8分
北鉄バス/JRバス「南町・尾山神社」徒歩1分 - 構造
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
- 延床面積
- 2803.14平米
- 築年月
- 1972年4月
- 従前用途
- オフィス
- リノベーション後用途
- ホテル
- リノベーション年月
- 2017年8月
- 開業日
- 2017年8月
- 撮影
- Takumi Ota※2枚目以外