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イベントレポート

CCC×リビタ共催ビジネスセミナー 「リノベーションによる地域価値づくりのヒント」

目次

  1. 株式会社LIFULL LIFULL HOME'S総研
    所長 島原万丈さん
    10年間の変化。「このまち、なんかいいよね!」はつくれる
  2. 株式会社リビタ 企画推進担当部長 井上聡子
    “価値変換”で生まれた、かけがえのない出会い
  3. 東邦レオ株式会社 ディレクター 三田 豊さん
    空間やまちを再編集して価値を生み出す

これまでパートナー企業として協業してきた、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)さまと株式会社リビタの2社共同主催で企業セミナーが東京・有楽町で開催されました。ご縁のあった株式会社LIFULL LIFULL HOME’S総研 所長 島原万丈さん、東邦レオ株式会社 ディレクター 三田豊さんにもご登壇いただき、株式会社リビタからは企画推進担当部長 井上聡子が登壇し、3名のスピーカーによる「リノベーションによる地域価値づくりのヒント」をテーマにしたセミナーを行いました。リビタ井上の登壇では、普段聞くことのない企画の裏話や事業のメソッドが語られました。当日の全体の様子を振り返りながら、リビタがこれまでどのように暮らし/まちのリノベーションや価値づくりを行ってきたのか、事例とともにご紹介します。

■登壇者紹介

株式会社LIFULL LIFULL HOME’S総研 所長 島原万丈さん

株式会社リビタ 企画推進担当部長 井上聡子

東邦レオ株式会社 ディレクター 三田豊さん

株式会社LIFULL LIFULL HOME’S総研 所長 島原万丈さん|10年間の変化。「このまち、なんかいいよね!」はつくれる

最初の登壇者は、株式会社LIFULLの島原万丈さんです。

島原さんが所長を務めるLIFULL HOME’S総研は、住宅・住まい・地域の未来を考えるために設置された研究・調査機関(社内シンクタンク)。住まいの価値や人々の暮らし方、地域のあり方などについて、さまざまなデータ調査・分析を行い、2014年からは年に1回、調査研究レポートを冊子で発行しています。

今回のセミナーでは、「地域の“価値”はどう測るのか」という切り口から、2025年に10年ぶりに改訂版を発表した「センシュアス・シティ(Sensuous City/官能都市)」についてお話いただきました。
フォーマットに則った均質化していく街の再開発に違和感を抱いたことから「センシュアス・シティ」では、都市を人との関係性と「動詞=人の行動」で評価した以下2つの指標軸をつくることで、『このまち、なんかいいよね』を測るモノサシを提案し、“Sunsuous(=感覚の、五感の)”を感じる地域価値の指標調査が実現したと語る島原さん。
・「近所の人にお裾分けをした/された」といった人との関係性
・「地元産の食材や郷土料理を楽しんだ」などの身体性(行動)

10年ぶりの改訂版発行の背景のひとつにあったのは、2025年9月に国土交通省から発表された「成熟社会の共感都市再生ビジョン」。土地政策において、地域の文化やコミュニティを重要視する方針への転換を国が発表したことを受け、センシュアス指標を盛り込んで再調査に至ったのだとか。

その結果、ランキングは大きく変動し、再開発による質の高い公共空間の整備やエリアマネジメント、再開発エリアの“裏”にあたるエリアでのリノベーションでローカルフードや自然を感じる体験が増加した大都市の都心部が躍進し、“元祖センシュアス・シティ”の地方都市が順位を下げるかたちとなりました。“元祖センシュアス・シティ”の下落の背景としては、画一的な再開発や魅力的な個人店の閉業、コロナ後の外出機会の減少が考えられるそう。

この結果を受け、島原さんは『センシュアス・シティ』は残っていたもの、守られていたものから、“つくられるもの”に変容しました。つまり、『センシュアス・シティ』はつくることができる。これは、希望でもあると思う、と考察します。

▼「Sensuous City[官能都市] 2025」
https://www.homes.co.jp/souken/report/

株式会社リビタ 企画推進担当部長 井上聡子|“価値変換”で生まれた、かけがえのない出会い

続いて、リビタの賃貸事業部で企画推進担当部長を務める井上聡子が登壇。これまでシェア型賃貸住宅やシェア型複合施設、シェアオフィス、一棟まるごとリノベーション分譲など、さまざまな事業の企画・プロジェクトマネジメントを担当してきました。

井上からは、「暮らしのリノベーション」による不動産価値の転換を軸に、これまで企画に携わってきた物件における、バリューコンバージョン(価値変換)の事例をいくつかご紹介しました。

最初に挙げたのは、昨年およそ10年間の歴史に幕を下ろした神田のシェア型複合施設「the C」のプロジェクトです。2013年当時、築53年だったオフィスビルをシェア型賃貸住宅、オフィス、シェアスペースの複合施設にコンバージョンしたこの事例。東京駅周辺から徒歩圏内のオフィス街というイメージの強いこのエリアで、働く場所から暮らす・集う場所へと転換させるシェア型複合施設へ。当時の社会的背景についても触れながら、リニューアルの経緯を語りました。3〜9階部分を事務所から寄宿舎へと用途変更する際には、避難経路や換気・採光、住宅としての居室性能の確保などさまざまな課題も。

井上 耐震補強の鉄骨ブレースが空間のいたるところにあり、商品になるのかという議論ももちろん起こりました。しかし、それをあえて居室内に露出することで、ほかにない商品として打ち出すことにしました。

2013年当時、築53年だったオフィスビルをシェア型賃貸住宅、オフィス、シェアスペースの複合施設にコンバージョンしたこの事例。東京駅周辺から徒歩圏内のオフィス街というイメージの強いこのエリアで、働く場所から暮らす・集う場所へと転換させるシェア型複合施設へ。当時の社会的背景についても触れながら、リニューアルの経緯を語りました。3〜9階部分を事務所から寄宿舎へと用途変更する際には、避難経路や換気・採光、住宅としての居室性能の確保などさまざまな課題も。

井上 耐震補強の鉄骨ブレースが空間のいたるところにあり、商品になるのかという議論ももちろん起こりました。しかし、それをあえて居室内に露出することで、ほかにない商品として打ち出すことにしました。

Before
Aftre

「都心のオフィス街」から「暮らす場所」へ。価値転換を経て2015年にオープンした「the C」は、10年の運営の末、2025年2月末に惜しまれながら閉館しました。そのなかで「さまざまなかけがえのない出会いと物語が生まれた」と、井上は話します。

井上 ハード面だけでなくソフト面でのコミュニティ運営にも力を入れ、約10年の間に本当にたくさんの方に訪れていただきました。閉館直前には、『the C』の入居者主催のクロージングパーティーも行われ、OBOGを含めた約70名が集まってくださいました。なかには、入居者同士でご結婚されたり、お子さんが生まれたりした方々もいます。

そして、後半ではシェアオフィスのコンバージョン事例として「12SHINJUKU」と、「12KANDA」をご紹介しました。「12シリーズ」は、働く場所に住まいの機能の一部を持たせたリビタのシェアオフィスシリーズ。建物内には共用のイベントスペースやラウンジ、リビングダイニングなどがあり、入居者の家族も訪れることができる新しい形のシェアオフィスです。2018年に、築38年の旧耐震オフィスビルを耐震補強の上、一部をシェアオフィスにコンバージョンした「12 SHINJUKU」をオープン。(※当初より決定していた再開発に伴い、2023年3月で閉館) その後、2024年にシリーズ初の新築物件かつ、建物全体が複合型シェアオフィスである「12 KANDA」が誕生しました。

井上 基本的にオフィスは社員と関係者しか利用できないため、限られた人のみの居場所になりがち。せっかく施設の中で素敵なことが起きていても、周りからは見えづらく、地域からも閉じられた印象になってしまうことに課題感がありました。

あえて行きたくなる場所をどうつくるか。そこで「12 KANDA」では、職×食をテーマにまちにひらいたシェア型複合施設に。低層階に外部の人も気軽に利用できる飲食店や日替わり・週替わりでレンタルできるシェアキッチンを設けることで、入居者や近隣で働く方々の“社食”的な存在を目指しました。

井上 また、普段は隠される避難階段を、あえてメインのファサードにポジティブに持ち出しました。それによって、まちとの接続面を増やし、オフィスの中での振る舞いをまちに染み出させることが狙いです。その結果、暗く閉ざされた雰囲気の裏通りが一変しました。新築物件ではありますが、これもまち全体の価値向上に寄与する、ひとつのリノベーションのカタチだと思っています。

さらに、「『12 KANDA』ではご近所の方々が土日に開催するイベントに来てくださったり、入居者が神田まつりに参加したりと、地域とのさまざまなつながりが生まれている」と井上。「リビタだけでなく、利用者・地域の方々と一緒に楽しみながら“暮らす”を考え続け、次の不動産の常識をつくっていきたいと思っています」と締めくくりました。

東邦レオ株式会社 ディレクター 三田 豊さん空間やまちを再編集して価値を生み出す

そして、最後のスピーカーは東邦レオ株式会社のディレクター・三田 豊さん。東邦レオは、都市緑化事業を土台に、共用空間の設計・施工、コミュニティ創出など広義のリノベーションを手がける企業です。

既存の建物を壊さず、古い素材や構造をリスペクトしながら現代性を組み込み、別の用途に適応させる「アダプティブ・リユース」や、都市の余白の編集によるウェルビーイングの創出事例をいくつかご紹介いただきました。

その最初の取り組みとなったのは、東京・九段下にある「kudan house」。築100年近い個人所有の洋館を元の姿を活かした形でリノベーションし、ビジネスサロンとして活用しながら次世代に継承しようとする事例です。

また、地域の価値向上を目指した大阪市北区中津での取り組みでは、オフィスビルの駐車場の一部をリノベーションし、マイクロブルワリーとして運営。企業や団体のコミュニティを醸成する一助となっているのだそう。

このブルワリーを起点に、さまざまなゲストを招いたトークセッションイベント「ハイパー縁側」をのべ400回近く開催するなど、周辺地域とともにビルの価値を上げながら、“まちとつながる再開発”のあり方を進めていると語る三田さん。

そのほか、活用されていない路地や道路空間を活用した社会実験を通して都市の余白の編集から場の価値を高める取り組みについても紹介されました。

余白のある空間というのは、スペース・時間・関係という3つのレイヤーが低密度になっている領域で、文化と市民参加のプラットフォームにもなりうる可能性を秘めていると考えているとのこと。

今後も、大阪関西万博のパビリオンのリユースや、音楽イベントを通じたまちの魅力の再構築など、スクラップ&ビルドに頼らない不動産価値の創出のあり方に挑戦したいと考えていると話します。

トーク終了後には、登壇者を交えた交流会が行われ、今回のビジネスセミナーは終了。来場された皆さまとともに、これからのまちの価値、魅力とは何か、コミュニティが地域にもたらすもの、そして「リノベーション×地域価値づくり」の可能性について考える、大変有意義な時間となりました。

 

リビタでは、時代に合わせて不動産のポテンシャルを再定義するバリューコンバージョン(価値変換)のメソッドを積み上げてきた強みを活かしながら、今後も「住む」「働く」「旅する」「集う」それぞれの枠にとらわれない、“暮らしの豊かさ”を提供していきます。そして、さまざまな企業さまとの共創を通じて、さらなるまちの価値づくりに貢献していけたらと考えています。

保有する不動産の可能性を、私たちと一緒に広げていただける企業様との出会いを楽しみにしています。具体的な課題や方針が分からない。保有不動産や土地活用でどんな可能性があるのか0から相談したい。そんな不動産オーナー様からのご相談をお待ちしております。

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取材・撮影 :2025年11月

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