奈良公園南端の池の畔に建つオフィスビルをホテルにコンバージョン

プロジェクト概要
大陸文化や自然と共生してきた奈良のサステナビリティを継承するホテル
春日山原始林や興福寺・五重塔を臨む場所に位置する荒池の畔にある、築31年のオフィスビルをコンバージョンしたホテルです。鹿の訪れる池の堤にテラスをせり出し、開放的で地域に開かれたカフェバーを併設しました。ホテルは2名のインテリアデザイナーによる趣の異なる空間を共存させたほか、神仏習合や輪廻転生、多様性、自然環境との共生などを表現するコンテンポラリーアートを館内に配置し、「奈良らしさ」を表現しました。
また、既存開口部分に新たに断熱性の高い障子を設置し、省エネルギー化を実現したうえで、再生可能エネルギーを使用するなど、施設全体での二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。地元の素材やプロダクトを扱う職人やデザイナーに加え、人気カフェなどとの協業も積極的に行っています。客室は全7タイプ44室あり、1名様からグループまで、多様なニーズに対応しています。
担当範囲
課題と解決
課題
小規模オフィスビルのホテルへの転用
本物件は、近鉄奈良駅徒歩10分に位置する、延床面積約600坪(うち約100坪は地下駐車場)のオフィスビルでした。ホテルとして収益性を確保するためには小規模であり、客室レンタブルと収益性を最大限高めることが必要不可欠でした。また一方で、建物は春日山原始林を臨む池の堤に面しているため、そのロケーションの魅力を最大限活かすことも求められました。
ブランドビジョンの体現
THE SHARE HOTELSは”SHARING WITH LOCALS 地域との共生”をビジョンとし、地域プレイヤーの活動・発信の場を提供しながら、宿泊者と地域との接点を創出するホテルブランドです。本物件では、1300年を超える奈良の歴史や遠くに望む春日山原始林、鹿と共存する暮らしなどの環境を次世代に引き継ぐような姿勢を体現する企画が求められました。
解決
地下駐車場の客室化と、テラス設置による共用部の拡張
レンタブルを高めるために、ドライエリアのある地下駐車場を室内化し、客室を5室設置。同時に、事務所やリネン庫などのバックヤードも地下階に集約することで、地上階の客室数を最大限確保し、収益の向上を実現しました。また客室面積を最大化するとともに、共用部の面積を確保するために、隣接する池の堤にせり出したデッキテラスを設置。テラスは鹿がふらりと訪れる人気のカフェバーとして機能しています。
共生の奈良の視点で、独自のサスティナビリティを提案
多様な文化や自然が共生する奈良のサステナビリティを実現すべく、2名の建築家により、地元奈良のプロダクトやマテリアルを積極的に採用した空間づくりを行い、館内には神仏習合や輪廻転生、多様性や自然環境との共生などを表現する現代アートを配置。また、環境負荷が小さいとされるリノベーションに加えて、既存開口部の断熱性を補う障子を用いた省エネ化と再生可能エネルギーの活用によるCO₂排出量の削減を実現しました。






物件概要
- 物件名
- MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS (公式HP)
- 所在地
- 奈良県奈良市高畑町1116-6
- アクセス
- 近鉄奈良駅徒歩10分
- 構造
- 鉄骨造(S造)
- 延床面積
- 1963.93平米
- 築年月
- 1900年
- 従前用途
- 事務所ビル
- リノベーション後用途
- ホテル
- リノベーション年月
- 2021年
- 開業日
- 2021年9月
- 撮影
- Takumi Ota※6,7枚目以外