倉庫ビルを、アート作品を公開保管する
「アートストレージ」を併設したホテルに再生
プロジェクト概要
アートストレージとホテルが融合した、新しいかたちの現代アートの拠点施設
浅草エリアにほど近い築54年の倉庫ビルを、アート作品を公開保管するアートストレージを併設したホテルへとコンバージョンしました。1階と地下1階の共用部に設けた9区画のアートストレージは、アートギャラリーやコレクターが賃借し、作品を公開保管しており、これらの空間は宿泊者に特別な体験を提供しています。
また2年に1度、才能あるアーティストの発掘を目的として「KAIKA TOKYO AWARD」を開催し、入選作品は本施設にて約2年間収蔵展示されます。 元倉庫ビルの天井高を活かし開放的な空間に設えた客室は、全12タイプ73室あり、1名様からグループまで、多様なニーズに対応しています。2021年度グッドデザイン賞の受賞や、アワードの取り組みが「This is MECENAT 2025」に認定されるなどの評価をいただいています。
担当範囲
課題と解決
課題
建替えると容積が小さくなる、駅からの距離が遠い物件
本物件の敷地は、建築当時から都市計画法上の許容容積率が減少しており、新築に建替えると延床面積が小さくなる物件。また、駅からの距離が遠く、ホテルとして収益性を確保するためには、その条件を覆すほどの目的性をもたせる必要があった。さらに、採光がない地下1階や、飲食やフロントなどが必要な1階を除くと、建物全体7層中約2層分は客室にできないため、事業性に課題があり、投資額を抑える必要があった。
ブランドビジョンの体現
THE SHARE HOTELSは”SHARING WITH LOCALS 地域との共生”をビジョンとし、地域プレイヤーの活動・発信の場を提供しながら、宿泊者と地域との接点を創出するホテルブランドです。本物件では、地域プレーヤーが活躍する魅力的な拠点となるには、ロケーションに優位性もなく、共用部への潤沢な投資もできないという課題があった。
解決
既存の容積率を維持し、余剰空間を使って目的性を高める
大規模模様替えに該当しない計画により、容積率の既存遡及を受けないかたちで、床面積を維持したままの用途変更を実現。また、客室化できない地下には現代アートのギャラリーの「見せる収蔵庫」を併設することで、投資を最小限に抑えながら、ユニークで目的地となる空間を実現し、駅距離と非レンタブル空間の活用という2つの課題を解決。
ギャラリーやアーティストとのWin-Winの関係を構築
「見せる収蔵庫」により、ゲストに対して特別な鑑賞体験を提供するとともに、アートギャラリーに対して都内でのリーズナブルな保管場所を提供するなど、ホテルとゲスト、ギャラリーの3方よしの関係を実現。また、アート作品の公募「KAIKA TOKYO AWARD」を2年に一度開催し、才能あるアーティストの作品を無償で設置し、国内外からの宿泊者の目に触れる機会も提供。
物件概要
- 物件名
- KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS (公式HP)
- 所在地
- 東京都墨田区本所2-16-5
- アクセス
- 都営浅草線「浅草駅」徒歩8分・「本所吾妻橋駅」徒歩9分
都営大江戸線「蔵前駅」徒歩9分 - 構造
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
- 延床面積
- 3764.5平米
- 築年月
- 1966年
- 従前用途
- 倉庫・事務所
- リノベーション後用途
- ホテル
- リノベーション年月
- 2020年3月
- 開業日
- 2020年7月
- 撮影
- Takumi Ota※4.5枚目以外