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ストーリー

TDK・高砂熱学工業と探る、寮を活かした人的資本経営|新しい企業寮の「編集」会議

目次

  1. なぜ企業寮が人的資本経営において重要なのか
  2. 事例1:高砂熱学工業株式会社
  3. 事例2:TDK株式会社
  4. 担当者たちが語る、企業寮の可能性

「採用の武器がない」「社員のエンゲージメントが下がっている」

そんな課題感をお持ちなら、「企業寮」が解決の鍵になるかもしれません。

株式会社リビタは2026年4月24日、東京・竹芝のリビタが運営するシェアスペース「SHAKOBA」にて、高砂熱学工業株式会社、TDK株式会社に登壇いただいたビジネスセミナー「新しい企業寮の『編集』会議」を開催しました。トークセッションでは、単なる施設紹介に留まらない、企業寮運営における葛藤や、日々の運営から導き出されたメソッドが包み隠さず語られました。

この記事では、イベント当日の様子を振り返りながら、各社がいかにして寮を人的資本経営に活かしているのか、またリビタがそれにどう伴走してきたのかを、事例とともにご紹介します。

登壇者紹介

高砂熱学工業株式会社 人事部 タカサゴ・シン・アカデミー長 小川正人さん

TDK株式会社 総務本部 中杉仁一さん

株式会社リビタ 賃貸事業部 加藤陽介

株式会社リビタ 地域連携事業部 増田亜斗夢

なぜ企業寮が人的資本経営において重要なのか

イベントの冒頭では、リビタから「なぜ人的資本経営において企業寮が有効なのか」というテーマでオリエンテーションがありました。

「人的資本経営」とは、人材を「資本」として捉え、その知識・スキル・経験などを最大限引き出すことで企業価値を向上させる経営手法。 従来の人事管理が人材を「コスト」として扱うのに対し、人的資本経営では人材を「投資対象」だと捉えます。

そんな人的資本経営の観点から、再注目されているのが企業寮です。

昭和の時代には、企業が労働力の確保のために社員を囲い込むものだった企業寮。バブル崩壊後には負債とみなされ、自社寮の売却が進み、寮を持つ場合であっても一般のマンションを借り上げる形が主流となりました。

※本画像はAIを利用して作成しています。

しかし現代、「深刻な人材不足」「人間関係を重視する労働観の高まり」「テレワークによるコミュニケーション不足」といった課題が深刻になる中で、それらを解決できるソリューションとして、企業寮の価値が見直されています。

では、企業寮が経営課題にどう直結するのか。以下の資料にある通り、主に「社『内』の繋がり」と「社『会』との繋がり」という二つの側面があるとリビタは考えています。企業寮は単なる福利厚生施設ではなく、社内の、そして社会との繋がりを生み出し、人的資本経営を推進する重要な戦略拠点になる可能性を秘めているのです。

事例1:高砂熱学工業株式会社

では、ここからは寮を活かした人的資本経営の事例を見ていきましょう。まず紹介するのは、寮を「社『内』の繋がり」作りに活かしている、高砂熱学工業株式会社(以下、高砂熱学工業)の事例です。

高砂熱学工業は、東京ドームや麻布台ヒルズをはじめ、オフィスビルや商業施設、病院、データセンター、半導体工場などの空調設備の設計・施工・保守を手掛ける企業。そんな高砂熱学工業は、リビタが運営するシェア型賃貸住宅「シェアプレイス HARUMI FLAG」の一部を社員寮として利用しています。

「シェアプレイス HARUMI FLAG」は、東京都中央区晴海エリアにある、リビタが運営する全114室のシェア型賃貸住宅

なぜ「シェアプレイス HARUMI FLAG」を寮として利用することに決めたのか。高砂熱学工業の小川さんは、「昨今では『コミュニティ』や『多様性』が、社員が幸せに働くためには重要になってきており、会社としてそこを提供しないと、社員の成長やいい人材の採用が難しくなると感じていた」と言います。

ボトルネックになっていたのが寮です。かつての寮は老朽化が進み、住人同士のつながりも希薄で、住み心地も決して良いとは言えない状況だったそう。「これでは社員の幸せにはつながらない」と、新たな寮を検討していたところ、「シェアプレイス HARUMI FLAG」と出会いました。

実際に小川さんが見学に行ってみると、共用のキッチンで住人たちが楽しそうに食事をする姿が。「企業も年齢も性別も超えたつながりが生まれている。ここなら、社員が幸せに過ごせるはずだ」。そう考えた小川さんは、「シェアプレイス HARUMI FLAG」を寮として利用すると即決しました。

高砂熱学工業の小川正人さん

現在では採用活動の際、入社を検討している方に、寮として利用している物件を見にきてもらっており、寮の存在が採用の大きな強みになっているそう。また、社員との面談の中で「この前、寮のみんなで料理を作って…」と楽しそうに話す方もいるそうです。

寮が採用やエンゲージメントの向上につながっている手応えがある一方で、寮の運営には難しさも感じてきました。特に、共用スペースの使い方など、ルールづくりの必要性を感じているそう。その点については、二十年ほどシェアハウスの企画・運営に取り組んできたリビタと相談しながら取り組んでいます。

事例2:TDK株式会社

一方、企業寮を「社『会』との繋がり」づくりに活かしているのが、TDK株式会社(以下、TDK)です。

TDKは世界初の音楽用カセットテープを開発するなど、磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカー。そんなTDKは、創業者・齋藤憲三の出身地であり、国内生産拠点の中心地である秋田県で、「地域開放型の企業寮」を作りました。

総務本部の中杉仁一さんによると、TDKには「よりよい製品を作るためには、社員一人ひとりの価値創造が重要であり、そのためには社員の暮らしを後押しすることが欠かせない」という考えがあるのだとか。それに加えて、「地方での採用の難しさ」という課題も抱えていました。賃貸住宅が少なく、娯楽も大都市と比べれば選択肢が限られる秋田では、「この地域に住むことへのネガティブなイメージ」が採用のハードルとなってしまっていたのです。

そこで注目したのが企業寮です。かつての寮は築40年ほどの古い寮でしたが、若手社員や就職予定の方の声もヒアリングし、新たな企業寮の企画を立ち上げることに。そこで生まれたのが、「地域開放型の企業寮」というアイデアでした。

TDKの中杉仁一さん

背景にあったのは、創業者から脈々と受け継がれている地域貢献への思い。そして、ヒアリングを通じて明らかになった社員のニーズです。若い社員たちには、実は「秋田のことをもっと知りたい」「地域の人々とつながりたい」というニーズがありました。しかし、既存の企業寮はプライバシーを重視するあまり、地域から閉じた住まいとなっていたのです。

企業寮を地域に開くことで、社員が地域と関わりながら心地よく暮らすことができ、それがいいものづくりにもつながる。そして、開かれた企業寮は、地域にもいい影響をもたらすはずだーーそんな考えのもと、由利本荘市に「ZiNOBA」、にかほ市に「TSUGUBA」が誕生しました。

由利本荘市では「ZiNOBA」の計画をきっかけに、官民連携で取り組む「一番堰まちづくりプロジェクト」が発足し、周辺エリアも一体となった整備が進められています。

「TSUGUBA」の共用棟。「ZiNOBA」と「TSUGUBA」、どちらも地域に開かれた共用棟があり、地域の人々の憩いの場となっています。

いずれの企業寮も、共用棟は日中は地域の方も利用可能です。昼は地元食材を使ったレストランとして営業されており、友人や家族と食事をしたり、パソコン作業をする場としても利用する人の姿も。スポーツジムやコインランドリーもあるだけでなく、不定期で地域向けイベントも開催されており、地域の方々が集まる場所となっています。

その影響は驚くほどです。毎年実施している新入社員へのアンケートでは、「地域開放型の企業寮」の運営がスタートすると、「福利厚生の良さ」が入社の決め手の断トツの1位になりました。また、高齢の方が井戸端会議に使ったり、中学生が美術作品の展示に使ったりと、すでに寮は地域にとってもなくてはならない場所になっているようです。

一方で中杉さんが「ハードを作ることより、運営の方が十倍大事」と言うように、運営には難しさも。特に難しいのは、「どこまで地域に開くか」の線引きです。大前提として、寮とは社員が住む場所であるため、共用棟で過度にイベントごとが行われていたり、時間外まで住人以外が利用したりすることで、社員の住み心地が下がってしまっては本末転倒です。

そこで、リビタとも相談しながら、地域の方が利用する際のルールを定めたり、人とつながるのが得意な人、苦手な人、どちらも心地よく過ごせるようなコミュニティづくりに取り組んだりと、気を配りながら運営に取り組んでいるそうです。

担当者たちが語る、企業寮の可能性

事例紹介のあとは、リビタの担当者も交えて、運営面での苦労や工夫を深掘りしていきました。

中杉さん 寮を作る側が楽しくないと、いい施設はできない。その点、リビタの担当者である増田さんと、「こういう寮を作りたいですね!」と楽しく話しながら進めることができたのはよかったですね。増田さんは「秋田に住んでいるじゃないか?」というくらい、現地に足を運んでくださって(笑)。

司会 ヒアリングをもとに、リビタから企画を提案したと思うのですが、増田さんはどういう経緯で「地域開放型の企業寮」という企画を?

増田 いかに「社員の方が語れるプロジェクト」にするかは意識していましたね。TDKさんには、90年受け継がれてきた創業者の思いや、重ねてきた歴史がある。そうした要素を踏まえながら、若手社員へのワークショップも重ねつつ、社員の方自身が「うちの会社にはこんな寮がある」と語りたくなる企業寮にしようと。

リビタの増田亜斗夢

中杉さん コンサル企業に相談すると、考え方を押し付けられることもあるように思います。一方、リビタさんは私たちの考え方をしっかり汲み取って伴走してくださって、本当にありがたいです。

司会 高砂熱学工業さんの企業寮の企画は、どのように生まれたのでしょうか?

加藤 はじめに高砂熱学工業さんのお話を伺ったときに感じたのは、「本当に社員を大切にされている」ということ。私たちリビタもそういった思いを汲み取って、「自分が新卒だったら、どんな寮に住みたいだろう?」と想像しながら、何度も打ち合わせを重ねさせていただきました。

小川さん 社長がよく、「私たちが追求するのは、お客さんの幸せと社員の幸せなんだ」と言っているんです。社員の幸せを考えたときに、働きやすい環境づくりが重要。企業寮はそのひとつの鍵になると考えていました。

加藤 寮について、さまざまな企業にヒアリングしてきたのですが、「特に大学時代にコロナ禍を経験した社員は、親密な関係性を作ることにハードルを感じる傾向があり、会社としてどう向き合っていくのかが難しい」という悩みをお持ちの企業も多いようです。寮を運営する側は、なるべく密な交流を促したくなってしまいますが、若者の立場に立つと、みんなと話したい時もあるけれど、一人で部屋にいたいときだってあるのですよね。

その点、高砂熱学工業さんは社員、特に若者の働きやすさを一生懸命考えて、彼ら・彼女らのニーズをしっかり汲み取りながら寮を作っている。そうした「若者を大切にしたい」という思いを持つ企業の姿勢に触れると、「いいなぁ」と、たまに若者に嫉妬することがあります(笑)。私たちリビタとしては、そうした社員を大切に思う企業の力に、少しでもなれたらと思っています。

リビタの加藤陽介

司会 では最後に、みなさん一人ひとりが考える、今後の企業寮の可能性を聞かせてください。

小川さん 企業寮は、社員のエンゲージメントを高めるために非常に有効だと感じています。また、グローバルな事業展開をしていく企業においては、企業寮で社員が多様なバックグラウンドの方と接する機会を持つことは、とても意味があるのではないでしょうか。

中杉さん 私たちは企業寮を地域に開いたことによって、会社としてもビジネスに繋がり、地域にもいい影響が生まれている。企業寮は、企業と地域が一緒に成長していくきっかけになる、大きなポテンシャルがあると感じています。

増田 僕も同じように、企業寮は企業にとっても、地域にとっても、可能性に満ちた場だと思っています。今日ご紹介したような事例が全国各地に増えて、企業寮が地方創生のひとつの手法になったらいいですね。

加藤 企業の担当者の方の中には、企業寮の可能性を感じつつ、社内で共感が得られないなど、実現に難しさを感じている方もいるはず。私たちリビタは、二十年培ってきたシェア型賃貸住宅のノウハウも活かしながら、そういった担当者の方の伴走をしていきたいと考えています。

トークイベントの終了後のネットワーキング・名刺交換でも、企業寮の可能性について活発な議論が交わされました。

今回紹介した事例は、あくまでも二社にとって最適な企業寮のかたち。その企業の特色ごとに、百社百通りの企業寮の形があります。

「採用の強みになるような寮を作りたい」

「企業寮を地域に開いていきたい」

「既存の寮で、コミュニティを醸成したい」

など、「企業寮についてなにかを変えたい、考えていきたい」と少しでも思った方は、お気軽にリビタにお問い合わせください。リビタはそんな思いを持つ担当者に寄り添いながら、さまざまなソリューションを提案してまいります。

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