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対談

【法人入居レポート】共創型社宅の価値と可能性|カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

目次

  1. 出店ではなく法人入居。シェアハウスを舞台にした新たな試み
  2. 本を通して人を知り、コミュニケーションを生むきっかけを
  3. 企業同士の新しい関係性。共創につながる土台が築けた
  4. まとめ

2024年1月の開業から、早2年が経った『シェアプレイス HARUMI FLAG』。一般の入居者に加え、社宅や寮として利用する企業を募る「共創型社宅」という取り組みを導入。個人、法人の垣根を越えて多世代・多業種の入居者がゆるやかにつながりながら、新しい挑戦やきっかけ(フラグ)が生まれる場を目指して、少しずつ育んできました。

そのなかで、リビタとともに旗振り役を担ってくださったのが、TSUTAYAをはじめとする事業を展開する、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社さま(以下、CCC)です。オープンから2年間、実際に社員の方々にご入居いただきながら、一緒にさまざまな取り組みやイベントを行ってまいりました。

この記事では、今回の法人入居の発起人とも言えるCCCの高戸佑輔さんと、運営窓口の簗場美緒さん、そして『シェアプレイス HARUMI FLAG』の物件担当のリビタ社員・海野とともに、主な取り組みを振り返りながら、共創型社宅の価値や可能性について伺っていきます。

■プロフィール

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 高戸佑輔さん(写真中央)
パートナーシップ&コンサルティング事業本部 副本部長。蔦屋書店、SHARE LOUNGEをはじめとしたCCCグループの店舗開発、ソーシャルデザイン事業や地方創生事業、空間プロデュース事業を管掌。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 簗場美緒さん(写真右)
事業開発部 店舗開発営業 第2 Leader。普段はSHARE LOUNGEやTSUTAYA BOOKSTOREの店舗開発業務を担当。不動産・新しい街として当初話題になっていた晴海フラッグに興味を持ち、本プロジェクトに参画。

株式会社リビタ 海野由朔(写真左)
「シェアプレイスHARUMI FLAG」の物件担当。入居者窓口として、CCCさまと共に「育てる本棚」の運営、イベントを企画。

出店ではなく法人入居。
シェアハウスを舞台にした新たな試み

──CCCさまには、2024年の『シェアプレイス HARUMI FLAG』のオープニングからご入居いただきました。まずは、その経緯について教えてください。

高戸さん 以前から関わりのあったリビタさんから、晴海エリアで「共創型社宅」をテーマにした面白いプロジェクトがあるとお聞きしたのが、最初のきっかけです。個人だけでなく、企業単位でも入居できるシェアハウスだと伺い、単純に面白そうだなと。

私たちCCCはTSUTAYAをメイン事業にしていますが、2024年当時からさまざまな企業さんとのコラボレーションやパートナーシップを組むことによって、より事業を拡大していきたいという流れがありました。また、時間制カフェラウンジ&コワーキングスペースの『SHARE LOUNGE』を展開するなかで、商業施設以外のホテルや住宅の共用部といったスペースへの出店のご相談をいただくことが少しずつ増えているタイミングでもあったんです。

そういった背景もあり、『シェアプレイス HARUMI FLAG』のように多様な個人・企業が暮らす場に関わることで理解が深まったり、新しい事業へのヒントに繋がったりするかもしれないと思い、法人入居を決めました。

海野 リビタでは「あのCCCさんが入居してくださるんですか⁉」と沸きました(笑)。『シェアプレイス HARUMI FLAG』は、もともと単なる寮の機能を持つ社宅というよりも、さまざまな企業さまに住んでいただくことによって共創が生まれていくような場所にしたいという思いから立ち上がった物件なので、CCCさんのようにコンセプトに共感してくださる企業さまに入居いただけたのはすごく嬉しかったですし、ぜひいろいろな取り組みをご一緒できたらなと期待が膨らみましたね。

──簗場さんは、実際に入居される社員の方々の窓口を担当されていましたが、この取り組みが決まったときはどんなお気持ちでしたか?

簗場さん 事業部内でやっていることとはまた違った取り組みではありますが、面白そうだなと。リビタさん側での運営機能があり、施設自体も整っているなかで、私が運営窓口としていかに社員にその価値を伝えていくか、という部分は考える必要があると感じていました。私自身はシェアハウスに住んだ経験がなかったので、経験のある友人たちから知見をもらいながら、どうコミュニケーションをとっていけばいいかを考えていきましたね。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 簗場美緒さん

本を通して人を知り、
コミュニケーションを生むきっかけを

──ご入居されていた2年間で、実際にさまざまな取り組みやイベントが生まれました。今回は「育てる本棚」、「蔦屋書店ツアー」、「盆踊り大会への出店」の3つについて企画の背景や狙いを教えてください。

簗場さん まず、我々がやっている書店事業に紐づけて行ったのが「育てる本棚」です。3か月に1回、ほかの入居者の皆さんと一緒に決めたテーマをもとにCCCが選書をし、どんどん本を増やしながら『シェアプレイス HARUMI FLAG』ならではの本棚を育てていくという企画ですね。入居者の皆さんを巻き込んでアンケートをとったり、実際に取材をさせていただいたりしながら、どういうテーマ、ジャンルの本があったらいいかを精査し、選書を進めていきました。『シェアプレイス HARUMI FLAG』には、同じ趣味の方同士でつくったサークルがたくさんあるので、その部長さんたちに集まっていただいてヒアリングをしたりとか。入居者の方のおすすめの本には、手書きでポップを書いていただいたりもしましたね。

──ほかの物件にはない、まさに『シェアプレイス HARUMI FLAG』だけの本棚になりそうです。

簗場さん そうですね。せっかくシェアハウスでやるなら、本を通してお互いのことを知れたり、コミュニケーションツールにもなったりする本棚をつくりたいと考えました。実際やってみると、『シェアプレイス HARUMI FLAG』はビジネスや健康に興味のある方がすごく多い印象でしたね。物件の立地的に、新橋や豊洲エリアで働く方が多いというのも、もしかしたら関連があるのかもしれません。

株式会社リビタ 海野由朔

海野 計8回やってきて、最初は20冊程度だったのがもうすでに200冊近くまで育ちましたね。経験上、本棚って共用部にスペースがあるとつい置きがちなんです。最初はいいのですが、時が経つに連れて誰も利用しなくなったり、入居者の方のいらない本の置き場になったりして、そこだけ時が止まってしまうんですよね。

その点、「育てる本棚」は定期的に人の手が入って、かつラインナップも新鮮になるので、そうした管理上の課題も解決できる。それを選書のプロであるCCCさんが担ってくださることの説得力も含めて、すごくいい企画だなと。

蔦屋書店ツアーの様子
蔦屋書店ツアーの様子

簗場さん 「蔦屋書店ツアー」は、その派生イベントです。入居した社員が銀座の蔦屋書店のスタッフだったので、物件内で希望者を募って実際の店舗でツアーを実施しました。ほかの入居者の職場に行くことってなかなかないですし、アテンドしながら蔦屋書店という場について知ってもらったり、本を通して入居者同士の“好き”を知れたりする機会がつくれたら面白いよね、という話になって。結果的に、「育てる本棚」のテーマ決めにおいても参考になりました。

海野 ツアーには一般の入居者の方が10名以上参加しましたが、皆さんからもすごく好評でしたね。

──盆踊り大会はどんな経緯で出店することになったのでしょうか?

海野 HARUMI FLAG街区が誕生して2年目の夏に、初めて街のお祭りとして盆踊り大会が開催されることになり、これは物件を飛び出して街区内の個人や事業者の方々と交流できるチャンスだなと考えました。CCCさんからも「やります」と言っていただいたので、『シェアプレイス HARUMI FLAG』の入居者チームと並んでそれぞれ出店したんです。個人的に、CCCさんは「育てる本棚」を軸に、本の販売などをされるのかなと想像していたんですが……。

簗場さん フランクフルトと揚げパン、あとはお子さんが喜びそうな光るおもちゃを販売しました。

海野 全然、本とは関係ありませんでしたね……!

盆踊り大会の様子
盆踊り大会の様子

高戸さん 僕は当日参加できませんでしたが、かなりの売れ行きで、打ち上げにも参加できてかなり楽しかったと、当日いたメンバーからは聞いています。お客さんと直接コミュニケーションをとりながら、用意した物がたくさん売れる喜びを存分に感じられたのは、すごくいい体験だったのだと思います。

簗場さん 部門が異なるメンバー同士での出店だったので、社内コミュニケーションの活性化につながりましたし、チームビルディングとしてもかなり効果的だったと思います。こういった取り組みやコミュニケーションは、そもそも『シェアプレイス HARUMI FLAG』との関わりがあるからこそ生まれたものなので、やれてよかったですね。

企業同士の新しい関係性。
共創につながる土台が築けた

──これらの取り組みを含め、2年間の法人入居を通じて感じる変化や、得られた手ごたえなどはありますか? 

高戸さん 「『シェアプレイス HARUMI FLAG』に関わっていてよかったな」と思えるシーンがいくつもありましたが、先ほどお話に挙がった「盆踊り大会への出店」はまさにそのひとつだったなと。企業同士の取り組みの機会はたくさんあっても、あくまでビジネスの取引ですよね。企業のスポーツチームの大会などもありますが、それもある程度限られた業界で集まることが多いと考えると、ビジネスを抜きにして多様な方々と関われる機会は貴重なのかもしれないなと、あらためて感じました。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 高戸佑輔さん

簗場さん たしかに、企業同士で「どうお金を生むか」を主題に置かなくても、ブレストやアイデア出しができて、いかに面白くするかだけを一緒に考えられるというのは、特殊かつとてもいい機会だったと思います。

個性豊かな入居者の方々や企業さまとも繋いでいただいて、イベントをご一緒する機会もありましたし、そうやってフランクに輪を広げていけたのは、リビタさんの施設ならではだったなと。楽しみながらこの場を使ってできることを一緒に模索するなかで、共創につながる土台は築けたのではないかと感じています。

海野 一般的な入居者の方々のコミュニケーションの過程と似ているのかもしれませんね。「初めまして」からだんだん挨拶を交わす関係になって、その次は物件を飛び出してプライベートで遊ぶようになり、さらに関係性が進んでいくとお互いの仕事の話をしつつ、その先に気づいたら一緒に取り組みをしている、みたいなことが実際に起きているんですよね。

ベースとしてこの暮らしへの共感がある状態で、仕事や肩書ではなく人となりを通して信頼関係を築いているからこそ、自然と共創につながっていく。同じことをさまざまな企業さんとも起こしていきたいですし、今回CCCさんとその一歩をつくれたことはとても嬉しく思います。

──すでに新しい取り組みの構想もあると伺っています。今お話できる範囲でお聞かせいただけますか?

簗場さん はい。ひとつは、選書を兼ねた蔦屋書店ツアーの実施です。今度は銀座店だけでなく、ほかの店舗も含めてそれぞれのジャンルに詳しいコンシェルジュと一緒に回りながら、本棚に置く書籍を決めていくツアーを考えています。もうひとつは、「育てる本棚」をさらにバージョンアップした「育てる図書室」。ユニットタイプの個室の一部に本棚を新たにつくり、本を軸にした空間に拡げることでさらに入居者同士のコミュニケーションを活性化させる試みを計画中です。より良い形で実現できるように、楽しみながら頑張りたいですね。

まとめ

『シェアプレイス HARUMI FLAG』の最初の法人企業としてご入居いただいたCCCさま。コミュニケーションを重ねながら面白いと思えるものを形にし、さらには一緒に楽しむことによって、通常の企業同士の取り組みとはまた違う、新しい共創の在り方が見えてきました。

普段であれば関わることのない個人、企業と暮らしを軸に出会い、それぞれの個性を掛け合わせながら、新しい試みを実現・発見できる環境があること。入居したら終わりではなく、その先の共創につながる関係性を築けること。それが、ただ「部屋を借りる」だけではないリビタの法人入居の価値であると考えています。

「リビタとこんなことをやってみたい」「多様なパートナーと新しいことに挑戦したい」。具体的でなくとももちろん構いません。ともに企てていただける企業さまとの出会いを、楽しみにしております。

この記事の関連情報

シェアプレイスHARUMI FLAG
https://www.share-place.com/lp-harumi-flag/

writing&interview_ むらやまあき
photograph_ 平瀬夏彦
取材・撮影 :2026年2月

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