リノサポブログ

家づくりのこと

2011.05.19
リノベーションフルサポートサービス、コンサルタントの大嶋です。
 
このヒトコトシゴトブログでは、今までに、沢山のリノベーションされた素敵なお宅を見てきた私達コンサルタントから、皆さまがいえづくりの参考にしていただけるよう、今後不定期に「○○○マニア」シリーズをお届けしていく予定です。
 
その第一弾として、いえづくりにおいて非常に関心を集める"キッチン"にスポットライトを当てて、マニアな視点の解説をさせていただきます。今回は、「キッチンマニア」の中でも先ずはご要望の最も多い対面型キッチンのあれこれについて。
 
NLDKと呼ばれた量産型の住宅がもてはやされていた時代には、キッチンは当然のように壁で囲まれた、独立した一つの部屋でした。当時は主婦の城だったのでしょうか。
 
中古不動産のチラシなどをご覧になられた方はよくそんな独立式の"城"を目にされるかと思いますが、近年では、キッチンそのものをインテリア化して、見せてもいいモノになってきていたり、家族間のコミュニケーションをとりながら料理をする、夫婦・親子同士で一緒にクッキングをしたりと、ライフスタイルの変化によってL(リビング)D(ダイニング)K(キッチン)の境目があいまいになってきた結果、独立式のキッチンから対面式のものが好まれるようになってきています。
 
そんな中、自由設計をされる方の中で人気のある形がダイニング一体型のキッチンです。
この形には、「ダイニングが一緒のため面積の有効活用ができる」「インテリアの大きなアクセント・見せ場をつくれる」「ご夫婦の場合、ご主人が炊事を手伝ってくれるようになる(笑)」などといったメリットがあるかと思います。
 
しかし、一口にダイニング一体型、といっても実はマンションの構造や広さ、間取りによってはできることとできないことがあります。そのため、「どのような使い方をしたいか?」というご自身の希望に合わせてどのような形が最適か、または最善かを考えていく必要があります。
 
それでは、これからいくつかの事例を見ていきましょう。
 
  
①アイランド型(回遊性あり)/天板一体型/床段差なし

こちらは端整な顔立ちの、シンプルな箱型をした清潔感のあるキッチンです。
特徴としては、キッチンとダイニング部分の高さを合わせたため、スッキリとした見映えであることと、アイランド(島)型のため、どこからでも回遊しながら調理に参加ができるということです。
 
通常、作業性からキッチン天板は床からの高さが800~900mm(建築業界ではcm単位ではなく、mm単位でやりとりをしますので、今から慣らしてみてはいかがでしょう?)、ダイニングテーブルは700mm程度のことが多く、高さに100mm~200mm程度の段差がつくことになります。
 
上の写真のキッチンではその天板の高さを合わせているため、ダイニングで使用するイスを少し高くする必要がありますが、見た目スッキリでシンプルに仕上がります。
 
ちなみに、こちらにお住まいの方はワインがお好きで、ワインセラーを設けていらっしゃいます。設計当初は造り付けで計画をされていましたが、見積りが予算に合わず。そこで、既製品のワインセラーを利用し、壁をその既製品に合わせてつくるプランに変更。見事なコストダウンをされています。
また、パーティがお好きということなので、回遊性のあるキッチンは最適かと思います。みんなでワイワイ調理しながら、大人数でワインに舌鼓、なんて想像するだけでも楽しくなってきちゃいますね!羨ましい限りです。

吉田邸2.jpg 
 
 
②アイランド型/天板段違い/床段差なし

こちらのキッチンでは、先ほどと違ってキッチンとダイニングの天板高さを違えています。
この場合、使い勝手上、一般的なダイニングテーブルの高さで食事などをすることができますので、使用するイスのバリエーションは多いでしょう。段差をつけることにより、キッチンという直方体の箱にダイニングの板が差し込まれたような意匠に仕上がり、それぞれの表情に変化を加えることができます。
ちなみに、こちらは床材・テーブル天板・バックカウンターを同じタモ材の木地にし、キッチンの箱部分に白く染色したタモ材を用いることによって、絶妙な統一感を演出しています。
 
ちなみに写真の空間、現在は25畳弱の大きなリビングスペースとしてお使いですが、将来的に家族が増えた場合のことも想定して、個室を新たに設定できるよう留意して設計されています。家族数が変わったりとライフステージが変わった場合のことも想定ができる、自由設計ならではですね。皆さまはいかがでしょうか?
 
 
③ペニンシュラ型/天板一体型/床段差なし



片側が壁から突き出てきているようなペニンシュラ(半島)型キッチン。
ペニンシュラの場合、回遊こそできませんがその分、省スペースでつくることができるので、住戸によってはプラン上重宝することになるかもしれません。こちらの場合、キッチンの奥行きを深くし、食事や多目的に使えるようになっています。そのため、イスはハイスツールなどを使う必要がありますが、とても効率的でスッキリとキレイな見え掛かりに仕上がっています。
ちなみに、コストダウンの要素としてキッチン天板の人工大理石をつくった型を活用し、レンジフード兼照明の吊り天井をステンレスで製作しています。まさにアイデアですね!自由設計ならではの、効率的ないえづくり、ものづくりだと思います。
 
通常のキッチンよりも奥行きがかなりあるので、調理や食事以外にもPCを使ったり、読書をしたりとキッチンに座って過ごされる時間が多いようです。コンパクトに完結できる、居心地の良いキッチンは特に、普段お忙しい方には重宝できそうですね。
 
 
④アイランド型/天板一体型/床段差あり





こちらのキッチンでは天板一体型であるものの、今までご紹介した3つの事例とは異なり、床に段差をつけ、キッチン側を低くすることによって高さ関係の課題をクリアしています。
キッチン側の床が低くなることによって、ダイニング部分のイスは一般的な高さのものを使うことができます。そして、見た目にも1つの家具のような見え方にすることが可能です。
ただし、こういったことができるのは二重床にできる住戸に限ります。マンションの場合、既存の状態が直床(じかゆか)になっていれば、大きな範囲で床を上げなければこのようなことはできませんし、費用もかかるため効率的ではありません。元々二重床になっていたり、遮音を考えて二重床にする計画がある場合には可能ですので、設計を進めていく上で決まることが多いです。
 

※私のスケッチです。汚い絵で恐縮ですが、個別相談や打ち合わせ時に、このようなスケッチを描いていろいろとご説明することもあります。 
 
 ちなみに、天板の素材は中国の御影石を使用されています。独特の"ぬめっと"感があるとてもカッコいい表情です。その天板の足もとにはIKEAの家具を上手く活用されてコストダウンをしています。見え掛かりは珪藻土や古材、石などと上手く融合されているので、コスト・使い勝手・見た目と3拍子揃った上手い選択だと感じました。

 
 
⑤変形ペニンシュラ型/天板一体型/床段差あり


最後にこちら、スペースをうまく有効活用しているお宅です。
キッチンダイニングとしては、ちょうどTの字のような使い方をしています。右手に見えるのが、お風呂の小窓。お風呂の前の壁にまで天板を伸ばしていき、そこをダイニングスペースとして利用できるようになっているのですが、こちらもキッチンスペースの床を下げることによって、天板の高さは床から700mm程度となっています。
 
 
 
今回のキッチンマニアでは5つのお宅の事例を見ていただきながら素敵な対面式キッチンをご紹介してきましたが、ご希望されるキッチンの在り方はさまざまですし、正解というものはありませんので、購入されるいえの間取りや面積、かけられる予算などによって設計者とベストの回答を見つけていってください。
 
それでは、また次回「キッチンマニア」シリーズ第2弾をお届けしますので、お楽しみに!
このシリーズを通して、今後のいえづくりの参考にしていただけると幸いです。

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