昔の日本の住まいには『茶の間』がありました。そこは、ちゃぶ台を出して食事をする場所であり、布団を敷いて眠る場所であり、座布団を出してお客さんを招く場所でした。寝食をする場所が同じ場所というのが当たり前で、その部屋には、家族がくつろぐ一家団欒の風景がありました。こんな『茶の間』を、現代的にアレンジした多目的空間をつくる提案です。

東京都武蔵野市にあるKさんご家族の住まいは、リビングダイニングから続く畳の小上がりを設けています。この小上がりは、布団を敷いて寝室ににしている以外に、リビングルームの延長で子どもの遊び場にもなっている多目的な空間です。また、小上がりの下を収納スペースにして、空間の有効活用をしています。

同じ空間でも少し高い場所にあるため、ゆるやかにゾーニングされるのもメリット。家族の気配を感じながらも、程よい距離感でそれぞれのワークができそうです。家族みんなで、どんな用途にも使える大らかな空間を使いこなせば、オリジナリティのある住まいが実現できそうです。