坂口 修一郎さんインタビュー音楽もジャンボリーも故郷も、すべてが僕の暮らしの一部だから|住まいのヒント

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住まいのヒント

坂口 修一郎さんインタビュー
音楽もジャンボリーも故郷も、
すべてが僕の暮らしの一部だから

目 次
  1. 1森の学校で催されるフェスティバル「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」
  2. 2地元をもっと楽しみたい。そう思う人が集えば街は豊かになっていく
  3. 3広がるグッドネイバーズの輪。これからはローカルから情報発信していく時代
  4. 4場も音楽も、さまざまな要素のハーモニーが豊かさを生み出す
  5. 5まだ見たことのないものとの出会いを求めて、旅する感覚で暮らす
  6. 6お茶の生産量国内第2位・鹿児島発の新しい日本茶体験
  7. 7『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016』 オリジナルグッズ
  8. 8BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK SENDAGAYA

無国籍音楽のエスペラント楽団・Double Famousとしての活動のほか、ソロミュージシャンとしても様々なプロジェクトに参加している坂口修一郎さん。一方、故郷・鹿児島では、音楽・クラフト・アート・食・文学などを楽しむクロスカルチャーな体験型野外フェスティバル『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』を主宰。そのほかにもローカルをテーマにしたコミュニティ・カレッジを企画するなど、音楽のジャンルにも活動のフィールドにも捉われずに活動する坂口さんのお話には、“豊かに暮らす”ための考え方のヒントが詰まっていました。

森の学校で催されるフェスティバル「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」

— 2010年から鹿児島で開催されている「グッドネイバーズ・ジャンボリー」ですが、どんな内容のフェスティバルなのですか?

坂口さん 「グッドネイバーズ・ジャンボリー」のテーマは、「みんなでつくるフェスティバル」。今年2016年で7回目の開催になります(※「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016」は2016年8月20日開催)。音楽はもちろん、クラフト作家によるワークショップや、映画の上映会、デザイナーや写真家によるセミナー、地元の食材を使ったフードなど、いろんなジャンルのプログラムを展開していて、大人も子どもも、いろんな人が楽しめるお祭りです。

音楽はみんなで盛り上がりやすいものですが、それだけだと「音楽好き」な人しか集まらないじゃないですか。ジャンルレスにプログラムを用意しておくことで、「陶芸のワークショップをやりたくて来たけど、ちょうどやっていたライブのアーティストに興味を持った」とか、「ライブを見に来たけど、クリエイターのセミナーを覗いてみたら面白かった」とか、そうやって新しいものや人とのつながりが広がっていったら面白いと思って。

「グッドネイバーズ・ジャンボリー」は僕ら主催者側が用意したプログラムをただお客さんが楽しむお祭りではなくて、主催する僕らも、コンテンツを提供する音楽家やお店も、お客さんも、みんながこのお祭りを楽しむ側であり、参加者みんなでつくるお祭りなんです。「1品持ち寄りのパーティー」のイメージですね。歌を歌う、楽器を演奏する、ものを作る、料理を作る、踊る、ヨガをする……、何か得意技を持っている人たちが集まって、それをお披露目しつつ、お互いやってみようよ!というような。

でも、いろんな人に来てほしいからといって、敷居を下げすぎてもいけないんです。ある一定のクリエイティビティは維持しないと、イベントの質が下がってしまうから。その部分をディレクションしつつ、間口は広くして、たくさんの人にいろんなきっかけを与えられるイベントづくりに取り組んでいます。

課題になったのは開催場所でした。公園では利用制限が多くて、かといって従来のライブ会場のような出来上がった場所でやるのもイメージが違うなって。「グッドネイバーズ・ジャンボリー」の開催場所である「かわなべ森の学校」は廃校になった小学校で、芝生のグラウンドがあり、昭和8年に建築された校舎や木造の講堂も残っています。一番近い民家とは2キロ以上の距離があって音の問題もないし、鹿児島市内からのアクセスもいい。定型のない「みんなでつくるお祭り」の舞台にぴったりの場所だったんです。

坂口修一郎さんインタビュー
『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2015』より。音楽はもちろん、アートやクラフト、映画、文学など、さまざまなプログラムが展開されており、大人から子どもまで楽しめる。

— 坂口さんが故郷である鹿児島で「グッドネイバーズ・ジャンボリー」を始めることになったきっかけを教えてください。

坂口さん そもそもの動機は、「自分たちの音楽をやるのにフィットする場所をつくりたい」という思いでした。ダブル・フェイマスの一員として全国各地で音楽活動を行ってきましたが、音楽のジャンルだったりパフォーマンスのあり方だったり、それぞれのハコごとに何となく縛りがあることに窮屈さを感じるようになっていたんです。

そんなとき、代官山にあるクラブUNITの立ち上げに参加することになって、場づくりに関わるようになっていきました。そうして音楽活動と並行していくつかのイベントプロデュースをするうちに、故郷である鹿児島でも何かできないだろうかと思い始めたんです。

今、一緒にビジネスをしているランドスケーププロダクツの中原慎一郎くんは同じ鹿児島出身で、さらに同い年ということで以前から親しくしていました。僕が鹿児島で何かできないかと考え始めた当時、中原くんは鹿児島で、古い石蔵をリノベーションした家具なども扱うカフェ「DWELL Playmountain」(2010年7月よりショップ名を「GOOD NEIGHBORS」に変更)をやっていて、それにいろいろな衝撃を受けたんです。

まず、東京に暮らしていても「故郷に仕事をつくる」という形で地元と関わることができるんだ、ということ。そして、同じくランドスケーププロダクツの岡本仁さんが執筆した「僕の鹿児島案内」(出版:ランドスケーププロダクツ)という鹿児島の店やモノを紹介している本があるんですが、地元に暮らしているときはただ通り過ぎるだけだったお店が、実は素晴らしい湯豆腐屋だったりして、まさに灯台元暗しというか、地元のことを全然わかっていなかったことにも衝撃を受けて。

中原くんたちの活動を通じて鹿児島でものづくりする若手の人たちと出会い、そこで起きているムーブメントを目の当たりにしたとき、「ここでやったら絶対盛り上がる」そう直感して、イベントを立ち上げました。

坂口修一郎さんインタビュー
『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2015』より。もちろん音楽コンテンツも盛りだくさん。アーティストによるライブや参加型のパフォーマンスなど、音楽の楽しみ方もさまざまに提案。
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地元をもっと楽しみたい。そう思う人が集えば街は豊かになっていく

— 「メイド・イン・鹿児島」も「グッドネイバーズ・ジャンボリー」のテーマのひとつですが、その理由はなんですか?

坂口さん 僕も上京するまでそうだったんですけど、地方に暮らす人には地元のものを低く評価する癖があると思うんですよ。「東京が一番」というヒエラルキーをつくり出してしまっている。

でも、さっき話したように、鹿児島にも面白い人やもの、店はたくさんある。むしろ最近では、東京にいる人たちのほうが地方の魅力に敏感で、地方のものや地方への旅が人気ですよね。わざわざ東京に行ったり、東京のものばかりを求めなくても、「地元のものもいいじゃん」「鹿児島楽しいじゃん」という気持ちに、鹿児島の人たちになってほしいんです。

僕が鹿児島のことを見つめ直すきっかけになったのは、「Calexico」というアメリカのバンドのメンバーと親しくなったことでした。“Calexico”というのは、“California”と“Mexico”を合体させた言葉で、彼らはメキシコとの国境付近にあるツーソンという街に暮らしています。「なぜニューヨークとかの大都市じゃなくて、地方の街に住み続けているの?」と聞いたら、「ニューヨークじゃ家賃が高くてスタジオも借りられないし、この街なら音を出してもOKな場所がすぐ見つかる。なによりこの街が気に入っているんだ」って言うんです。

確かに僕も、大都市ではないけれど鹿児島が好きだし、居心地がいいと感じている。日本だと何もかも「東京が一番」という傾向があるけれど、そういえばアメリカではニューヨーク以外の都市に住んで活躍している人がいっぱいいるし、そのことにコンプレックスも、ニューヨークに対してヒエラルキーも感じていないよなって。

— 坂口さんは「鹿児島の魅力」とはどんなところだと思いますか?

坂口さん こんなふうに話しておいて何ですが、いざ鹿児島を見つめ直してみると、「もっとこうしたらいいのに」とか、ダメなところにばっかり目がいっちゃうんです(笑)。でも、他にはない魅力というと、やっぱり桜島。火山がドカンとあって、雄大な自然を身近に感じる、こんな都市は世界中を見渡してもそうそうないですよね。

「人は土地がつくる」とはよくいったもので、こうした土地柄のせいか、鹿児島の人はおおらかでドーンとしたところがあると思いますね。あと、とにかく明るくて人懐こい。ガンガン話しかけてくるんですよ。思春期の頃にはそれがうっとうしくも感じられましたけど(笑)。

「グッドネイバーズ・ジャンボリー」をやるようになって、いろんな地方の人に相談されるようになりました。そうしてわかったのは、地方活性のための方程式なんて存在しないこと。その土地ごとに、人も違えば気候も違う。外部からの評価を気にする前に、地元の人の地元に対する意識を変えること。そうすれば、自ずと自己発信していけるようになると思うんです。「グッドネイバーズ・ジャンボリー」はそうした発信場所のひとつであって、このお祭りをきっかけに鹿児島の人やものの良さが、もっと広まってくれたらいいなと思っています。

坂口修一郎さんインタビュー
『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2015』より。地元・鹿児島での認知度は年々高まり、毎夏多くの人で賑わう。地元・鹿児島の人にとっても新しい鹿児島のもの・コトとの出会いの場となる。

— そんな故郷でのイベントに、“良き隣人”という意味を持つ“GOOD NEIGHBORS”をネーミングしたことには、どんな思いが込められているのですか?

坂口さん そもそも故郷の鹿児島でイベントをやろうと思ったのは、地域復興だとか仰々しいことではなくて、自分が鹿児島を楽しみたかったからなんです。「友達と一緒に地元で盛り上がりたい」そんな個人的な思いをみんなが共有していって、どんどんつながりが生まれていったら面白いという話をしたら、岡本さんが「それって“GOOD NEIGHBORS”だね」と。

日本だと“騒がないでください”とか“犬のフンを捨てないでください”という注意書きが、アメリカに行くと“Respect your neighbors”と書いてあったりする。“隣人を敬いましょう”という、その考え方がいいなと思って。ジャンルを超えていろんなものや人が集まる、主催側や出展者、参加者の垣根がない、みんなでつくるお祭りというコンセプトにもぴったりだねと。

これも岡本さんが話していたんですが、「家は選べるけれど隣人は選べない。だから、まずは自分が“良き隣人”にならないと」って。「自分の生活を豊かにしたい」というのは究極の利己主義ですが、“Be a good neighbor”という精神のもとなら、それは周囲と共有できる豊かさになると思うんです。そして、「良き隣人たちの集まり」だから、“FESTIVAL”よりも“JAMBOREE”だねと。「グッドネイバーズ・ジャンボリー」のネーミングにはそんな思いが込められています。

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広がるグッドネイバーズの輪。これからはローカルから情報発信していく時代

— “良き隣人たちの輪”が広がるように、「グッドネイバーズ・ジャンボリー」内で開催していた「グッドネイバーズ・カレッジ」は鹿児島以外の地域でも展開されています。

坂口さん 「グッドネイバーズ・カレッジ」は、ローカルを見つめ、身の回りのあるものを使って新たなものを作り出す力を身につけるためのコミュニティ・カレッジです。

あるとき写真家の若木信吾くんから、「どうして鹿児島はそんなに盛り上がっているの?」と言われたんです。彼は故郷である浜松でお店をやっているんですが、「浜松はなかなかそうならない」と。じゃあ鹿児島に来てみなよと、第3回の「グッドネイバーズ・ジャンボリー」で初めてカレッジを開講して、若木くんが講師を務めて『ぼくらのホームタウン案内をつくろう』というワークショップをやりました。それが浜松、高松での開催へとつながっていきました。

地域外からも参加しに来てくれる方がいて、カレッジで鹿児島発信のフリーペーパー「judd」をつくるワークショップをやった際は、「編集部員になりたい」と東京から応募してきた人もいました。地元のいいものをきちんと見つめて、情報を発信していると、まず評価してくれるのは地域外の人なんですよね。でも、そうして外の人に評価されるようになると、地元の人の気持ちも盛り上がる。やっぱり、地元のものが褒められたら気分がいいじゃないですか。そうやって、いい循環が生まれていくんです。

今は地方でも物流は整っているし、インターネットで情報入手も発信もできる。ただ、情報はまだまだ東京からの一方通行なんです。地方からも積極的に発信していくことで、もの・コト・人が行き来する量を増やしていきたいですね。もう、東京一極集中の時代じゃない。全国のローカルが「地元発信」して盛り上がっていくことが、カレッジの活動テーマです。

坂口修一郎さんインタビュー
インタビュー場所は東京・千駄ヶ谷のカフェ『Tas Yard』(TEL 03-3470-3940)。併設している『GOOD NEIGHBORS’ FINE FOODS』では、ランドスケーププロダクツが全国各地で出会った人々がつくる食料品が販売されている。

— 最近では、平成28年熊本地震で被害を受けた、熊本・大分のスモールビジネスを支援する『OK PROJECT』という活動の実行委員も務められています。どのような活動なのですか?

坂口さん 個人で運営しているお店や小規模事業などは、行政や寄付による支援を直接受けにくいんです。さらに、熊本や大分では地域の消費マインドがまだ低迷していて、地域のスモールビジネスは事業継続の危機にさらされています。そこで、地元はもちろん地域外へもビジネス展開を広げてもらうべく、「OK SHOP」という物産展を渋谷ヒカリエで催したり、移動や滞在の費用をサポートするなどして、熊本と大分のスモールビジネスを支援する活動です。

「グッドネイバーズ・ジャンボリー2016」のオリジナルポスターも、熊本にある九州活版印刷所という、昔ながらの手法で活版印刷を行う印刷屋さんで刷ってもらったものなんです。熊本の活版印刷の歴史ってすごく古くて、グーテンベルクが印刷技術を発明してから150年後の1591年には、熊本県天草に伝わっているんです。こうして熊本や大分の人や会社が作ったものを、ちゃんとストーリーも添えて販売すると、「熊本や大分でこんなことやってるんだ」と、みんな興味を持ってくれる。それがさらなる購買につながったり、仕事の依頼につながったりするかもしれない。そんな輪が広がっていくことを目指しています。

僕は音楽家だからチャリティライブをすることもできますが、それじゃあ一時的に人とお金が集まるだけで、彼ら個人店の長期的な支援にはつながらない。メガチェーンばかりの街よりも、元気な個人店が多い街の方が豊かで面白いと思うから、そういう個人で頑張っている人たちをサポートすることが結局隣の街の人たちを支援することになると思うんです。

— 音楽家である坂口さんが、こうした地域活動をする理由はなんなのでしょう?

坂口さん すべての動機は「自分の暮らしを楽しくしたい」ということなんですよ。僕がしているさまざまな活動について、「音楽家なのになぜ?」って聞かれることもあるんですけど、音楽だけで暮らしのすべてを豊かにすることはできないでしょう? いい音楽を聴いていたら、その時飲むのはインスタントじゃない美味しいコーヒーがいいし、コーヒーを注ぐマグカップも素敵なものであってほしいし、座るイスは上質なものであってほしい。そんなふうに暮らしって、1ジャンルで区切れるものじゃないんですよね。

音楽も、食も、空間も、店も、街も、すべてつながっているもの。ダブル・フェイマスも、「グッドネイバーズ・ジャンボリー」も「OK PROJECT」も、僕自身が豊かな暮らしをしたいからやっていることなんです。

坂口修一郎さんインタビュー
「音楽だけでは暮らしを豊かにできないから」と、場の在り方も大切だと話す坂口さん。東京・千駄ヶ谷にある『Pho 321 Noodle bar』(TEL 03-6432-9586)は、そんな坂口さんのお気に入りスポットのひとつ。
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場も音楽も、さまざまな要素のハーモニーが豊かさを生み出す

— ランドスケーププロダクツ内に立ち上げた、坂口さんが代表を務めるディレクションカンパニー・BAGN Inc.ではどのような活動を行っているのですか?

坂口さん 「BAGN」は“BE A GOOD NEIGHBORS”の各単語のイニシャルを合わせたもの。ランドスケーププロダクツはものづくり、BAGNでは空間の音楽構成やイベントの企画といった、ものではない「コト」をつくる仕事を展開しています。

2014年には渋谷のヒカリエで「ヒカリエ楽団」という、ヒカリエのあちこちでハプニング的に音楽パフォーマンスが始まるというプログラムを行いました。アドバイザーを務めた、「渋谷ズンチャカ」という渋谷のまちの真ん中で行う参加型の音楽フェスでは、2015年の開催時(今年2016年は9月4日開催)、楽器を演奏しながら350人くらいで渋谷のスクランブル交差点をパレードしました。通りがかった街の人もみんながパレードに混ざってきて、予想以上に盛り上がり過ぎて警察に注意されてしまうほどでした(笑)。

音楽って基本的に受け身で、聴く人が「聴きにいく」ものなんですよね。そうやって、音楽は音楽好きな人とかそうじゃない人といったヒエラルキーをつくってしまったけど、本来は誰もが楽しめるものだし、他人と共有しやすいもの。「音楽のほうから会いにいく」ということを大事にしています。

— 坂口さんがイベントなど場づくりに取り組むとき、大事にしていることはありますか?

坂口さん 「グッドネイバーズ・ジャンボリー」もそうですが、特定のジャンルや人だけが楽しむものにしないことですね。盛り上がるイベントを考えてほしいとお願いされて「じゃあ音楽をやりましょう」と言ったら、僕は音楽家なので、相手はそれを受け入れるしかなくなってしまう。必要があれば音楽も提案しますが、決して「音楽をすること」がメインにならないようなイベントづくりを心掛けています。

僕が参加しているダブル・フェイマスはもともと10人のバンドですが、みんなが同じ楽器だったら面白みに欠けますよね。バラバラの役割の人が一緒に音楽をつくるから面白いし、いろんな音があったほうが豊かな音楽ができる。そんなふうに何事も、いろんな要素があったほうが深みが増すと思うんです。そういう意味では、みんなが楽しみやすい音楽は、さまざまな要素を混在させるための潤滑油的存在といえるかもしれません。

坂口修一郎さんインタビュー
『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2015』より、「グッドネイバーズ・マーチング・バンド」の様子。楽器を持っている人なら誰でも参加することができ、参加者も一緒に演奏しながら会場内を練り歩いた。

まだ見たことのないものとの出会いを求めて、旅する感覚で暮らす

— 今度は坂口さんの身の回りの暮らしについて伺いたいのですが、これまでどんな家に暮らしてきたのかを教えてください。

坂口さん 大学に進学して上京したばかりの頃は学生寮に住んでいました。しばらくして寮を出て一人暮らしを始めたんですが、一戸建てに住みたくて、ボロボロの一戸建てを借りて一人で住み始めました。その頃から音楽活動もしていたから、音が出せる環境に暮らしたかったということもありますね。結婚後はマンションに住んでいたんですが、戸建て暮らしをしていたせいか、階数が高いところに暮らすのがどうもしっくりこなくて、戸建てを買って今はそこに暮らしています。

— お住まいについて、「これは譲れない」といったこだわりはありますか。

坂口さん 住まいへのこだわりはあまりないほうですね。日当たりとか風通しとか、普通のことぐらい。ただ、街については静かな街が好きです。結婚直後に住んでいたマンションは裏手が墓地で、静かなのが良かったですね。

以前はオーディオにこだわったりしていたけど、今はこだわらなくなりました。普段から音楽スタジオにあるような機器を使って音楽を聴くような人はほとんどいないですよね。普通の人が音楽を聴く環境と変わらない環境で聞いたほうがいいと思って。

地方に行く機会が多いので、家で過ごす時間はそんなに多くあるほうではないのですが、友達を招いてパーティーしたり、妻とゆっくり食事したりするのが、家でのお気に入りの過ごし方ですね。

— 旅へ出ることが多い坂口さんですが、今まで旅した場所でお気に入りの宿はありますか?

坂口さん アメリカのビッグ・サー・ロッジですね。ビッグ・サーはカリフォルニア州にある地域の名前で、作家のヘンリー・ミラーや詩人のアレン・ギンズバーグをはじめ、今でもビートやヒッピー的な思想を持つ文学者やアーティストなどが暮らしているところです。ビッグ・サー・ロッジは森の中にあって周囲には商業施設がほとんどなく、周囲には手つかずの雄大の自然が残り、中でも切り立った崖が連なる海岸線は絶景でした。

よく行く土地では、いつも同じ宿を使うようにしていますね。理由は、コンセントやモノの位置を毎回確認するのが面倒だからなんですが(笑)。

今、住まいは東京にありますが、こうして鹿児島や地方へ出掛ける機会が多く、どこか一箇所に留まっているという感覚はあまりないですね。いろんな土地へと移動しながら暮らしていることで、見えるようになったものは多いと思います。これからも、旅するように暮らしていきたいですね。

坂口 修一郎さんのお気に入り

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お茶の生産量国内第2位・鹿児島発の新しい日本茶体験

「鹿児島のお気に入りの1軒」として坂口さんが挙げてくれたのは、鹿児島中央駅近くにある『すすむ屋 茶店』。実は鹿児島は国内第2位の日本茶生産地。茶葉の個性を最大限引き出した自慢のお茶のほか、スイーツやオリジナル茶具も展開。ランドスケーププロダクツがデザインした店内にはカフェが併設されており、淹れたてのお茶とスイーツをその場で楽しむことができる。2016年9月には東京・自由が丘に出店を予定している。(Photo: Yasuko Oga)

すすむ屋茶店』本店
営業時間/10:00~18:00
TEL 099-251-4141
鹿児島県鹿児島市上之園町27-13

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『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016』 オリジナルグッズ

坂口さんが「今年もこだわりました!」と話す「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016」の公式グッズから、スタッキングマグとバンダナをセレクト。ステンレス製品の産地として知られる新潟県燕市で製造されたマグカップは、持ち手が折り畳める仕様でアウトドアへの持ち運びにも最適。バンダナはご当地グッズ感たっぷりの鹿児島マップ入り。ほかにもステッカーやキャップ、タグやサコッシュなどを展開。(販売数には限りがあります)

GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016』 オリジナルグッズ
『GNJ16-003 Stacking Mug』¥1,500(税別)
『GNJ16-005 GNJ Souvenir Bandana』¥1,200(税別)
東京「playmountain」、鹿児島「GOOD NEIGHBORs」などで販売中。

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BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK SENDAGAYA

“ローカル・コミュニティーからの発信”をテーマに、さまざまな分野に展開している“グッドネイバーズ”。取材場所となった千駄ヶ谷のカフェ『Tas Yard』(TEL 03-3470-3940)のすぐそばにある『BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK』千駄ヶ谷店もそのひとつ。東京滞在時は千駄ヶ谷周辺にいることが多い坂口さんお気に入りのお店だ。「ただコーヒーが買えればいいんじゃなくて、顔見知りと声を交わせるのがいいよね」と坂口さん。

BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK SENDAGAYA
営業時間/月~金 8:30~18:00、土日祝 11:30~17:00
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-51-6

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