Creator’s Voice つくり手の声
「お客様の人生を担っている責任」をもって竣工というゴールまで導くのが僕の使命
藤岡 寛基 Hiroki Fujioka 1975 埼玉生まれ 法政大学大学工学部建築学科卒業後、オフィス・店舗開発の設計、施工関連会社を経て、2006年1月にリビタへ入社。
2回目の「クリエイターズボイス」に登場するのはリビタの社員。「一棟丸ごとリノベーション」プロジェクトにおいて、社内外を調整し設計者やプランナーなど多くの関係者と交渉しながら物件の完成までを見届ける、いわば進行管理役の藤岡氏をご紹介いたします。彼が飛び回る先は常に現場。「建築のプロ」の方々とともに悩み、トラブルをも乗り越えながら、満足いただける家をつくる。それを成し遂げるには「機械的なやりとりだけではできない」といいます。必要なのは「人間的な」コミュニケーション。「お客様の人生を担っている」という責任をもって、各担当者に伝えていくことが大事だそう。お客さまと直接顔を合わせる機会は少ないですが「スケジュール通りに建物を仕上げる」までには様々なドラマが起きています。そんな彼の奮闘ぶりに密着しました。
- 藤岡さんが、リノベーションのお仕事をはじめられたきっかけは何ですか?
- 僕は今まで、建築関係の分野において何度か転職経験があります。それは店舗だったり、オフィスだったり、その中でも設計だったり、現場だったり、建築というフィールドの中で様々な経験をさせていただきました。でも、実はそんな過去の自分の経験の中で「住宅」に関わる経験がありませんでした。今後ストック(既存建物)を活用するリノベーション市場は確実に大きくなると感じていましたので、住宅のリノベーションにチャレンジしたいと思い、2006年1月、リビタに入社しました。
- 現在は、どのようなリノベーションに関わっているのでしょうか?
- リビタでは、住宅に関する事業として、旧い建物を一棟まるごとリノベーションする分譲事業、マンション一戸をリノベーションしてから販売するユニット事業、そしてお客さまが住みたい街、予算などのご要望を聞いて、物件探しから設計・施工管理・お引渡しまでトータルにお手伝いするコーディネイトサービスなど、さまざまなサービスがあるのですが、僕の仕事は主に、建物一棟を丸ごとリノベーションするプロジェクトの建築業務全般をみています。

現在、藤岡さんが担当している「リノアたまプラーザ」
- リノベーションの建築業務全般とは、具体的にはどのような内容なのですか?
- まず、一棟丸ごとリノベーションを行う際には、たくさんの関係者=パートナーがいます。たとえば工事を行う前に建物診断をするための第三者機関。そしてプロジェクトを実行するための共用部の設計者、専有部の設計者、内装プランナー、工事業者など、さまざまな業務のプロフェッショナル集団がつくっていくんですね。そんなパートナーに対し、プロジェクトのコンセプトやプラン、コスト、そしてスケジュールを十分ご理解いただき、無事に竣工するまでトータルにマネジメントしていくのが仕事です。

2008年8月リノアたまプラーザにて。工事の安全を祈願する安全祈願祭の様子
- なぜ建物の調査をされるのですか?
- ずばり、お客さまに安心して住んでいただくためです。築年数が経った建物でも、お客さまに安心して快適に永く愛着をもって住んでいただくためには、既存建物をしっかり現状把握することが大切だとリビタは考えているので、最初に躯体、コンクリート、漏水、遮音などの状況を調査し、適正なラインを見極めています。調査は公平な判断を仰ぐために、第三者機関である専門の調査会社に依頼。そうした調査の報告書をもとに、共用部の設計士や販売戦略の意見をすいあげ、エリアやマーケット、トレンドなどとともに、具体的な建築プランがつくられていきます。
- 一棟丸ごとリノベーションは、どのくらいのスケジュールで完成するのですか?
- たとえば、現在進行中の「リノアたまプラーザ」の例でいうと、今年2008年2月にキックオフ。3月からコンセプト作り。4月からプランニング。7月からコスト設定、業者さんとのすり合わせ。8月から工事開始。11月に工事完了予定、そして3月に専有部も完成し、お引き渡しという感じです。当然ですが、スケジュール的に余裕はまったくないので、一度スタートしたらミニマムな中でたくさんのパートナーと連携して動いています。とにかく効率的に動く。チームワークやトータルマネジメントが重要ですね。


(左)工事現場の会議風景。(右)敷地内にプランニングした植樹の打ち合わせ。リノベーションの場合、販売担当からのイベント希望や工事中のトラブルなどで予期せぬことが多々起こるという。それを円滑、冷静、確実に進行させていくのが藤岡さんの役目。
- 藤岡さんが仕事の難しさを感じることは何ですか?
- たくさんのパートナーがいるので、決められた短い期間、後戻りが許されない期間で、多くの人、モノ、コストを調整していくことですね。現場のスケジュールと販売のスケジュールとを担当者どうして整合していかなければならない。とにかく同時進行で進めていくためのハンドリングに難しさを感じます。が、結局それは仕事のおもしろさでもあるんですけどね(笑)


リノアたまプラーザの(左)建築マネジメント担当(藤岡氏)と(右)販売マネジメント担当(宮田氏)
深夜、リビタオフィスのカフェにて。コーヒーブレイク中でも情報共有や相談事項はつきることがない
さまざまなメーカのサンプルや素材を熟知し商品企画に参加。材料の進化は日進月歩。常に最新情報を収集しています。
- リノベーションの現場において、困難や壁にぶつかることはありますか?またそれはどのように対応しているのですか?
- 困難はしょっちゅうありますよ(笑) 例えば何かトラブルが発生しても、予定されているスケジュールやプラン、コストを容易に変更することはできません。現場ではたくさんの人が動いていて、それぞれに責任とプライドをもって仕事をしています。トラブルを解決しようとするとき、できない理由や原因はいっぱいあって、それを人のせいにしたり、感情的に言いあったりしても次の一歩にはならない。それに引きずられて作業がとまってはいけないんです。だから状況を把握したら脱線したものを元のレールに戻すために何をすべきかに注力し、現場の声をしっかり受け止め、前にすすむ努力をしています。
- だからこそ、チームワークやトータルマネジメントが重要なのですね。藤岡さんがモットーとしていることはありますか?
- 人間的に伝える・・・ということでしょうか。建築は、時間とモノという絶対値の中の世界なので、ゴールがはっきりしています。だからリノベーションの現場で起きるあらゆることをコントロールするには、冷静な判断と理論的な進め方は不可欠。でも、建築って「人」がつくってるんですよ。理論ずめで機械的に説得しても伝わらない。また、事業主だからって上から命令するだけでもない。パートナーのみなさんを尊敬しているし、彼らの協力なしではできないのです。だからこそ、僕は言うことは言うけれど、「人間的にいう」っていうことをモットーとしています。ゴールはひとつなんですから。「○○さん、やっていきましょうよ」ってね(笑)

現場とオフィスを行ったり来たり。デスクワークをしていても、やはり現場が気になります!
- パートナーとともに、同じゴールを目指すために必要なことは?
- ゴールは明確。竣工です。ただそこにはビジョンが必要。言葉で伝えたり、図面で理解したりはできても、実際には「そんなはずじゃなかったのに」という細かいことが多い。リビタのように、建物を一棟まるごとリノベーションしている事業者はそう多くはないですし、つまりゼネコンさん(施工会社)にとってもリノベーションの経験が少ないわけです。新築とは作り方がまるでちがう。だから、既存のイメージややり方にとらわれず、パートナー一人ひとりが「リビタとともに、新しいことをにチャレンジしているんだ」「既成概念にとらわれない」というスタンスをもってもらう。そういうビジョンを共有してこそ、ゴールが目指せると思っています。
- 藤岡さんは、パートナーのハートと技術をしっかりつかんでいる感じですね。そんなリノベーションプロジェクトを通して、藤岡さんが達成感を感じるときはどんなときですか?
- やはり、共用部が竣工したときや、引渡しの時ですね。ずっと、机上のプランは頭ではわかっていても、雰囲気までは伝わらない。それが竣工にむかってカタチになってくると、今まで描いていたコンセプトがリアルになってくる。意図したものが、意図したとおりになったときに達成感を感じます。


現場では細かいところまで常にチェック。次々と完成し竣工に近づくにつれて嬉しさと同時に緊張感も高まるそう。
- リノベーションプロジェクトに関わって藤岡さんが得たものは?また、感動したことは?
- 僕はリビタに来るまでは、店舗やオフィスの空間を提案してきました。リビタでリノベーションを通して住まいを提案する仕事に携わったことで、お客様の人生の、大切な1パートを担っている、お任せいただいているという責任感とやりがいを感じています。
建築の作り手としては、どうしてもOne of Them(多くの中のひとつ)になりがちだけど、お客さまにとってはオンリーワンです。大量生産的な感覚はタブーだと思う。建築の現場を統括する立場ではありますが、お客さま視点のそういう判断基準でやっていれば間違いないと思っています。また、感動したことというと(分譲のリノアたまプラーザは現在進行形なので)法人向けの収益物件だった中央林間の独身寮プロジェクトでしょうか。独身寮→医療施設→独身寮というコンバージョン(用途変更)プロジェクトだったのですが、先日、実際に独身寮として運営されている企業の担当者の方とお会いする機会があって、旧い建物だったとは思えない洗練さ、住まいとしての快適さ、そして何よりそこの社員さんが住みたい!と好評だというのです。僕の仕事は実際に住まうお客さまと接点がありませんので、そうした声を聞いて報われたというか、純粋に嬉しかったですね。

リビタのコンバージョン第一号物件。独身寮というより都会のハイセンスなビジネスホテルのよう。
- それでは最後に、これから住まいを検討している人にメッセージをお願いします
- 今回は建築的な難しいお話をしてしまいましたね。でも、リビタのリノベーションマンションをお選びいただくお客さまは、どうか安心してください。旧い建物だから不安だとか、汚いからという嫌悪感は、リノベーションのプロである僕たちが夢とプライドをもってつくっています。お客さまは自分基準で住まいに優先順位をつければいいんです。築年数が経っているから安い、おトクなのではなく、自分基準で判断したものを選ぶことができ、ムダなく適正価格で買えるから、ご満足いただける。それがリノベーションなのです。一人でも多くのひとたちが、リノベーションの魅力に気づいて、そして自分らしく暮らしていって欲しいですね。
■FOCUS!
おまけの質問コーナー。クリエイターの素顔に迫ります!
- 休みの日の過ごし方、また趣味は何ですか?
- 休みの日は美術館にいったり映画を観たりが多いですね。あとはサッカー観戦!イングランドのアーセナルのファンです。自分では小・中学校時代にサッカーをやっていたのですが、今は会社の仲間と時々フットサルをしています。


(左)リビタフットサルの仲間たちと。(右)ロンドンで買ったアーセナルのロングTシャツ!
- 最近はまっているものはありますか?
- iPhone買っちゃいました♪

藤岡さんのお気に入りグッズ。中央がお気に入りのiPhone。手前のメジャーは新入社員の時に当時の先輩からいただいたものだそう。今でも常にバックの中に入れて現役使用中。社員証ケースには、リビタテープを貼ってオリジナルに。
- 好きな建築家は?
- ミース・ファン・デル・ローエ(1886~1969)です。デコラティブなものを排除し、機能的なもの=美しいものを提唱した人。鉄骨やガラスを積極的に使っていて作品が非常にキレイ。デコラティブな美よりも直線の美に共感しています。1930年にバウハウスの校長でもあった人。今年の春夏に開催されたバウハウス・デッサウ展は興味深かったですね。
- これから挑戦したいことは?
- 一級建築士をとりたいです!2009年、めざします!
リノベーションの可能性を感じて、店舗やオフィスの建築分野から住宅の世界にチャレンジしたリビタ社員の藤岡さん。社内ではゆっくりとした語り口の紳士で温厚な方という印象なのですが、現場では自分よりも年上で建築現場経験の長いベテラン職人を前にして、臆することなく、あらゆる交渉や調整に的確な指示を下す頼れる存在。それはまさに、職人をはじめとした多くのパートナーを尊敬し、信頼関係を築いているからこそできる藤岡流のコミュニケーション能力といえるでしょう。物件にご来場のお客さまやそこで新たな生活をスタートさせるお客さまは、藤岡さんの姿をみかけることはないかもしれませんが、今日もリノベーションの現場で職人さんとともに奮闘していることでしょう。リノベーションが安心で快適なもの、そして楽しいものであるという誇りと可能性を抱きながら。
文:石川/人物撮影:中渡瀬、木内
