リノサポブログ

まち

家づくりのこと

2016.04.19


職場と自宅が通勤10秒、という働き方、暮らし方っていかがでしょうか?
羨ましい限りですよね。

このブログでは、東京オリンピックの年である1964年に建築された木造戸建てを買って、店舗併用住宅へとリノベーションされた方の事例を紐解いていきたいと思います。

最初に施主のK様からご相談をいただいたのは、2015年1月。
中古戸建てを買ってリノベーションして住むことのお手伝いかと思いきや、

「パンや菓子類も提供できる、浅煎りのコーヒーを焙煎して提供するカフェを開業したい。そんな物件を探してもらえないだろうか?」

というご要望。
これはまた難しそうで、とてもオモシロそうだ!
と二つ返事で、是非やりましょう!
と答えてしまいました。

それまで、他のリノベーション会社などにも相談に行かれたようですが、なかなか探してくれる会社が無かったとのこと。
そんな中でまんまと乗り気になっていたのが、わたくし大嶋です。

「コーヒー民度の高いエリアで、例えば三軒茶屋あたりとかで1階にお店を構え、2階に住みたい。」
※コーヒー民度の高いエリアとは、マイクロロースターと呼ばれる個性のある個人経営の、焙煎も行うコーヒーショップや個性的な雑貨店、飲食店などがあり、ファッションセンスのよいお洒落な若人が集まる、好んで住まうようなエリアのこと(引用元:大嶋語録)

 
東急田園都市線沿線にお住まいだったこともあり、城南エリアや東急線沿線のエリアで探し始めたが、既に競合がいるエリアよりも、民度的に可能性は秘めているものの、なかなか行ってみたい、通いたいと思えるコーヒーショップが少ないと思われるエリア・沿線(つまり出店目線でのポテンシャルが高い)で且つ、東急線沿線よりも不動産相場的には少しありがたいエリアということで、東急世田谷線沿線や小田急線沿線を主戦場に探し始め、木造戸建住宅の内見へ。
 
いくつか見ている中で、これはめちゃくちゃ場所がいい!という物件を掘り当てまして、提案したところ、建物も味があっていいね~!と喜んでいただいている様子。
と、具体的に検討を始め、調査業務をスタートさせました。
調べると、出てくる出てくる、、
難易度の高いハードルがいくつも出てきました。



購入された物件は、築50年超、旧法借地権、隣地へ庇などの越境、敷地の約90%が都市計画道路、北側斜線という日照を守るための斜線制限にも引っかかっている、いわゆる住宅五重苦物件でした。

2~3年ほど空き家だったこともあり、雨漏れはあるわ、シロアリに食われているわでなかなかにボロボロ。
南側のせりだした2階部分は少し傾いていたこともあって、ややスリリングでした。

と、このように一般的な住宅検討者ならば敬遠してしまうような難ありな問題物件、それにも関わらず購入することに決められたわけですが、その理由はズバリ3つ。

その1【安い】
その2【早い】(抜群に立地が良く、駅からのアクセスが早い)
その3【うまい】(噛めば噛むほど味の出そうな佇まいの外観)
 

その1【安い】
人気路線、急行停車駅の超駅近という抜群の好立地にも関わらず、五重苦によって価格が抑えられています。

その中でも特に、土地の権利がポイント。
同条件の土地が所有権だった場合と、今回の場合とをざっと比較・試算してみると、
 
■所有権、新築の場合
 土地: 225〜270万円/坪×44坪=約10000〜12000万円
建物(新築): 100万円/坪×30坪=3000万円
計 13000〜15000万円
(※設計費用など別)

■今回の場合
コンサルティング費用、設計費用などの諸費用を含んでも新築した場合に比べて約65~70%程度の費用となりました。
工事期間は約4.5ヶ月。
 

その2【早い】
場所はこんなところです。

とても駅近です。駅から早い。(※地図は南が上になっています)
そして、農大通りという集客力のある商店街から少し入った落ち着いた環境にある。というのもロケーションの良さが際立っています。
ただ住むだけ、住宅用途だけだとやや賑やかで広い庭を持て余してしまうような立地と敷地の大きさ。
店舗併用となることで、抜群の立地で且つオープンテラスなどの魅力的な使い方が実現できます。


その3【うまい】



味が出すぎていることもあり、見た目にすごく良い佇まいをしていました。
(これで「うまい」という表現をするには少し強引すぎましたが、、)

リノベーションした後と見比べてみたいのですが、


こんな具合に生まれ変わりました。
面積の内訳としては、このような配分になっています。

自己居住部分を50%超にすることで、購入時のローンを低金利の住宅ローンで購入することに成功しています。
一般的には商売をするための不動産購入は、事業用ローンなどで金利が高くなるもの。
それを金利1%を切る住宅ローンで組めるのは、これから商いを始める方にとってはとてもありがたいことです。

とはいえ、自宅だけをリノベーションすることと比べると、初期費用も時間も手間もかかります。
事実、工事費は想定でおおよそ500~700万円程度膨らんでいます。

がしかし、事業主としては本来外に出ていくはずの家賃が、内に留まることで、周辺店舗の賃料相場などを頼りに試算してみると、2~3年以内に投資した部分の回収は適います。
商売(ビジネス)を継続していくためには、収入を増やして、支出を減らす。当たり前の大原則ですが、この支出を減らす、ということに関しては”家賃”と”人件費”が大きなウェートを占めるわけなので、私がこの仕組みが素晴らしいと感じている所以なのです。


2Fリビング・ダイニングキッチンの様子


1F南側の庭につながる。繁忙時はカフェに、普段はプライベート(私有)部分に設定可能。


2Fの寝室部分。壁を立て切らず、リビングと上部でつながっています。


最後に、10年後の暮らし方を妄想してみました。
技術革新(AIなど)の影響や、企業の人件費を含めたコスト管理などの波によって恐らく、勤め先だけではなく、複数から収入を得る、といった自立心の強い会社員や個人事業主が増えてくるんではないかなと考えました。
そのため、自分の体・頭脳という資本以外の、自己居住不動産で稼ぐ、賃貸として貸すことで収入を得る、といった選択肢が選ばれることも増えてくるのではないでしょうか。

30年以上前の街の商店の在り方は、このように1F:店舗、2F自宅といった究極の職住近接は多かったと思います。
ただ、三浦展さんの著書「第4の消費」によるところの第3の消費社会に入ったあたりから、会社員になることが良しとされてきたことと、大手資本による画一的な出店の増加などによってこのような形態の住宅はあまり見なくなってきていました。

がしかし、またきっと時代は巡り、自宅用途だけではない暮らしの在り方が求められる時代がやってくるでしょう。
そんな、家×〇〇という併用住宅のいろいろなバリエーションを紹介する記事も書きつづられております。

ご興味ある方は、コチラからご参照ください。
また、このような”併用住宅”というカタチにご興味ある方は、リノサポまでお問合せください。
▼無料相談会についてはコチラから

最後に、こちらFINETIME COFFEE ROASTERSという浅煎りの自家焙煎をするオーナー自ら経営、運営するコーヒーショップができます。

5月下旬頃に準備が整い次第OPENしますので、お近くにお住まいの方以外も是非、足をお運びください。
とても良質な、美味しいコーヒーが堪能できます。
小田急線沿線で、経堂で新しいスポットが生まれます。
乞うご期待!

設計監理:成瀬・猪熊建築設計事務所
構造設計:高橋建築工房
施   工:山内工務店

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